沖縄にはその土地の自然や地域や人を大切にして日々を生きていく心が残っている
savaさん
グラフィックデザイナー・イラストレーター・絵本作家
沖縄観光情報WEBサイト「おきなわ物語」内特集記事「ちむどんどんの舞台・沖縄」でイラスト作成を担当したsava さんにお話をお聞きしました。
イラストを通してドラマの世界と生の沖縄を繋げられるように
- 今回、ドラマの舞台をPRしていくお仕事のオファーを受けた時の気持ちと、お仕事に携わる中で感じたことを教えてください。
- オファーを受けた時の気持ちは、「ちむどんどんする~!」の一言です。(笑) 制作段階では、私自身沖縄に住んで長く地元の人とたくさん触れ合ってきたので、地元の人しか知らない情報、だけど、初めて見た人でもわかる!というバランスをとって一つずつちむどんどんする絵を考えることが楽しかったです。沖縄では当たり前のことも、ドラマを観た県外の人からすると「これなんだろう?」というわからないものも多いはず。それを楽しみながら知ってもらい、沖縄を満喫してほしいという気持ちが湧きました。制作にあたっては、シークヮーサーにしてもカラキにしてもやんばるに本物を見に行ってイラストを描きました。モーウイについては、地元のおじぃにその調理方法を聞いて自分で作って食べてからその味と食感などの感動をコラムにして、地元の人が見ても違和感がないように心がけました。
ドラマにも描かれているように沖縄では家族や先祖を大切にしている
- ドラマでは、沖縄の食文化と家族の繋がりが大きなテーマになっています。それらについてsavaさんの想いを聞かせてください。
- 沖縄料理や食事のシーンを描く際には、器やその柄など「どんなやちむんで食べたら美味しいかな」と想像しながら、沖縄ならではの食事風景を再現できるようにこだわりました。沖縄料理は手間はかかるけどシンプルで身体と心に優しい知恵の詰まった料理だと改めて教えられ、これからもイラストで沖縄の食文化を表現できたらと感じています。 また、沖縄の人は家族や先祖をとっても大切にしていると思います。印象的なエピソードとしてこんな話があります。知り合いのおばぁが、何十年前かに先立たれたおじぃに、旧盆の時、「今日は父ちゃんが帰ってくるからきれいにしようねぇ。これもあれも買って帰るさぁ。」と顔を赤らめ嬉しそうにおじぃに会えるのを待っている様子でした。離れて長い年月が経ってもご馳走をたくさん買って、まるで本当の来客を迎え入れるように張り切って部屋をきれいにしていました。 「見えないものだから」と目先や現実のことばかりを考えるのではなく、今ここにいるのは周りの人のおかげ、先人たちのおかげ、と周りの人々や先祖を大切にする気持ちを持っている人が多いのは、本当に沖縄の素晴らしいところだと思います。
仕事と自分の制作活動の両立をしながら日々ちむどんどんして生活していきたい
- savaさんが今後取り組んでいきたいことを教えてください。
- 沖縄本島北部で暮らす中で「必要な人と必要な時に、距離や時間をかけて会うべき人と会える。じっくりと作品に向き合うための時間を丁寧に使い、自然や季節の変化を感じることができる。」そんな居場所と時間を持てる環境が今の自分のスタイルに合っていると思います。 沖縄には、歴史的な地区だけでなく、商店街や普通の住宅街でも、星屑のように物語のかけらがたくさんある気がします。変わった地名や歴史、自然、植物や生き物の色彩、形、そこに生きる暮らしの工夫など…。そんなお話が訪れる所々にあるのが楽しくて仕方ありません。 今年から改めて絵本作家業に復帰したので、精力的にイラストやデザインの仕事を受けつつ、プレス機版画による島の色や形を表したデザインの作品や、この島にいるからこそ生まれた絵本の物語を描き進めるなど、仕事と自分の制作活動の両立をしながら日々ちむどんどんして生活していきたいです。
お話を聞いた人
千葉県出身。中学時代に聴いたコザのアメリカンロックをきっかけに、沖縄の文化人類学、琉球史に興味を持ち、琉球大学島嶼文化教育へ入学。美術教育と地域文化を専攻し、大学卒業後、3年間の沖縄市地域おこし協力隊の活動を経て、絵本作家に。地域とこどもと歴史を繋ぐ絵本の創作、造形ワークショップ・美術教室主宰の傍ら、キャンバスから飛び出した絵本の表現を日々研究。これまで歌、空間、演劇、と絵本のコラボ作品を発表した。美術教諭を経験したのち、現在は沖縄本島北部で制作活動を続ける。
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