まだまだ知られていない「宝」があちこちにある
篠田 宇希さん
フリーガイド
世界四大陸の世界遺産ガイドの経験を経て、各地に存在する宝を掘り起こすことをライフワークとする、元北中城村地域おこし協力隊員でフリーガイドの篠田 宇希さんにお話をお聞きしました。
沖縄の魅力は、自然・歴史・人と人とのコミュニケーションが身近にあるところ
- 世界遺産ガイドとして海外各地でガイドをしていた篠田さんですが、これまでの取り組みについて教えてください。
- もともと語学力を生かした仕事がしたいと考えていたのですが、オーストラリアのエアーズロックを見てすごく感動したことが僕の人生を変えるきっかけとなりました。スイス、オーストラリア、メキシコの3か国で世界遺産ガイドとして生活をしたあと、「ガイドのノウハウを日本の観光に活かしたい」との思いから、2019年4月、北中城村の地域おこし協力隊に着任しました。もともと沖縄には海・太陽・空と僕の大好きな要素が揃っていたこともあり、非常に魅力的な場所だと感じていました。地域おこし協力隊の任期は今年の3月で終えたのですが、今もこの場所でフリーガイドとして活動しています。沖縄には自然だけではなく、地域ごとに受け継がれてきた文化や風習、人と人とのつながりなど独特の魅力が身近にたくさんあると思います。そんな沖縄の宝を単純に発信するだけではなく、観光客の皆さんが歩きながら感じることが出来るように心がけています。
ドラマの世界観が北中城村にもたくさん残っている
- ドラマには様々な沖縄の生活や文化が登場しますが、ご覧になってどう思いますか？
- ドラマの舞台は復帰前後のやんばるでしたが、現在の北中城村でもその当時の雰囲気を体験できることが多いと感じました。ドラマの中では、共同売店を中心とした地域のつながりがよく出てきますが、北中城の各集落では今でも味噌や醤油を貸し借りするような近所づきあいをしていたり、沖縄独特の地域行事も盛んにおこなわれています。また、ドラマには沖縄の食材を使った料理と食事のシーンも多く見られます。なかでも僕が一番印象的だったのは、一人で食事をしているシーンがほとんどなくて家族や地域の人たちと食べていることです。家族で食卓を囲んでいるシーンには食べているだけではなくそこにドラマがありました。これが本来の生活習慣で、この中に「ちむぐくる」（心・真心）や「ぬちぐすい」（命の薬。身体によいもの・元気が出るもの）、タイトルでもある「ちむどんどん」などの言葉が見事に溶け込んでいると感じました。
北中城村大城集落のまち歩きで「ちむどんどん」して
- ドラマの放送を機にこれからさらに取り組んでいこうと思っていることはありますか？
- ドラマを見て沖縄の文化や生活に興味を持った方々は、ある意味で予習が済んでいるわけですから、見学や眺めるというだけではなく、その世界観の中に実際に踏み入れて歩いて・触れて・話して実際にその世界を深く体験してもらいたいと思っています。例えば、北中城村大城集落にある国指定重要文化財である中村家住宅などでは「比嘉家」世界観がリアルに味わえます。実は中村家住宅は数少ない”個人が継承している文化財”のため、運が良ければ実際に当主の方とお会いすることが出来るかもしれません。また、中村家住宅のある大城集落のまち歩きでは、おしゃべり好きな地元のおじいやおばあと自然発生的に「ゆんたく」（おしゃべりのこと）できることもあり、地域に暮らす人々と触れ合える魅力があります。加えて、北中城村では食の体験も可能です。「EMウエルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」の朝食ビュッフェで提供している長寿料理「ぬちぐすいコーナー」では、女性長寿日本一の北中城村が受け継いできた、沖縄の海藻や野菜を中心にした体に優しいメニューを堪能できます。これらのまち歩きメニューを皆様にガイドできる日が楽しみで、今からちむどんどんしています。沖縄美ら海水族館を見るために沖縄に来る方がたくさんいるように、北中城村大城集落でまち歩きをするために沖縄に来る人が現れたら嬉しいですね。
お話を聞いた人
フリーガイド
篠田 宇希さん
自称、世界遺産ハンタ―。オーストラリアでエアーズロックを見て感動し、人生をかけて
世界遺産を巡ることを至高の喜びにしている。世界遺産ガイドとしての経験を日本の観光に活かしたいという想いから、2019年～2022年北中城村地域おこし協力隊員として勤務。現在はフリーで、沖縄の世界遺産をはじめ、サップ・カヤックなどのマリンのガイドも行う。
北中城村観光協会 https://kitapo.jp/
