海を守るアクティビティを提供する
Dr.blueの取り組み
- 1 アクティビティを提供することで自然環境を守る
- 2 海の生き物を尊重した適切なブリーフィングの実施
- 3 回収したゴミをアップサイクルし世界に一つの作品に
沖縄の海を舞台に行う、ダイビングと環境保全を掛け合わせた新しいマリンアクティビティ。それがDr.blueの“水中ゴミ拾いツアー”です。
沖縄は世界的に人気の高いダイビングスポットですが、近年は海洋ゴミによる環境汚染が深刻化。こうした現状に立ち上がったのが、代表でインストラクターの東真七水(まなみ)さんです。
「未来に美しい海を残したい」という思いから、海の中を散策しながらゴミを回収する水中ゴミ拾いツアーを事業化しました。“楽しみながら環境を守る”という思いを軸に、エシカルなマリンアクティビティのかたちを提案しています。
誰もやっていない挑戦に、応援の輪が広がった
もともと東京でOLとして働いていた東さんは、沖縄で初めてダイビングを体験したことをきっかけに、海のゴミ汚染問題に関心を持つようになりました。自分にできることを模索していたとき、雑誌で水中ゴミ拾いのボランティアに関する記事を偶然目にし、すぐに参加したといいます。
実際に体験してみると、海中でゴミを探す感覚が想像以上に楽しく、「これはマリンアクティビティとしても成立する」と確信。ボランティアではなく事業として海を守ることに価値を見出しました。
「海に潜るには機材やタンク代などの費用負担が大きくボランティアとして続けるのは難易度が高い。けれど、参加者がアクティビティとして楽しめるかたちであれば、もっと多くの人に海を守る大切さを伝えられ、得た利益は次の活動に広げられる。何より、陸上とは違う水中ならではのゴミ拾いの面白さも知ってもらいたかった。それが結果的に環境保護につながるのなら、こんなに素晴らしいことはありません」
沖縄に移住後、東さんは自身の活動の様子をSNSで定期的に発信。当時は水中ゴミ拾いの認知度がまだ低かったのですが、それをチャンスと捉え、「レアゴミ発見」、「ゴミ拾いは宝探し」、「海ゴミクイズ」といった切り口で水中ゴミ拾いの魅力を伝えたところ、みるみるうちにフォロワーが増加。活動に対する応援の声が多く寄せられるようになりました。
それからクラウドファンディングを経て2022年5月30日(ゴミゼロの日)にDr.blueを立ち上げ、事業をスタートしました。
左:海底に溜まるペットボトルなどのゴミ。右:自身のSNSで発信した海ゴミクイズ。写真の中のどこかにゴミが隠れています。
新しい価値を生むあらゆる要素の掛け合わせ
事業開始直後は課題も多く、はじめの1〜2年目は苦労の連続だったという東さん。
「“ゴミ拾い”という言葉にはボランティアのイメージが強く、当初は『お金を払ってゴミ拾いをやるの?』という反応もありました。けれど、社会課題にエンタメ性を掛け合わせる挑戦こそが注目を集める。そう信じて発信を続けました。また、 “ダイビング”と“ゴミ拾い”を掛け合わせて水中ゴミ拾いが生まれたように、“ゴミ拾い”にさまざまな要素を掛け合わせ独自の企画として発信することで、少しずつ集客につなげていきました」
その一つが、水中ゴミ拾いとアップサイクルを組み合わせたコースです。自分で拾ったゴミを丁寧に洗浄して泥を落とし、レジンで固めて世界に一つだけのキーホルダーを作ります。
「形に残すことで、日常でキーホルダーを手にする度にゴミ拾いをした瞬間の思い出がよみがえる。これをきっかけにリピートしてくださるお客さんも増えました」と東さん。
水中ゴミ拾いはダイビングのライセンスが必要ですが、ライセンスの必要ないビーチクリーンとアップサイクルを合わせたコースも創設したことで、家族連れの参加も増えたといいます。
左:色ごとに分けられた小さなゴミをビュッフェのように選び、自分好みにアップサイクルするワークショップを開催。右:ビーチクリーンで拾った色とりどりのゴミ。
その他にも、ビーチクリーンと街コンを組み合わせた交流会や、使い捨て削減を徹底した「ゴミゼロBBQ」、海で回収したゴミのかけらをビュッフェ風に並べてアップサイクルする「海ゴミビュッフェ」など、多彩なアイデアでイベントを開催。
これらの掛け合わせや日々の発信を続けたことで、従来のボランティアイメージを超えた体験を提示でき、集客につなげられただけでなく、イベントやツアー参加を経て共通の価値観を持つ人同士が繋がったり、海のゴミ問題に興味を持ち行動を起こす人が増えるなど、良いサイクルを生みました。また、メディア掲載や講演・コラム執筆の依頼が増え事業の幅を広げることにつながっています。
“水中ゴミ拾いはチームプレー”
満足度を高め、継続へつなげる取り組み
“水中ゴミ拾いはチームプレー”満足度を高め、継続へつなげる取り組み
Dr.blueでは、ツアー前に参加者に向けて行う事前説明「ブリーフィング」を重視しており、機材の使い方や水中での注意点に加え、生き物を傷つけないための観察の仕方や回収時の配慮を徹底してレクチャーしています。
また、東さんが意識しているのが“水中ゴミ拾いをチームで楽しむ”という視点と雰囲気づくり。バディ制の導入や役割分担、簡単なサインを明確化することで海中での安全性が高まるのと同時に、参加者同士のコミュニケーションを促進。協力してゴミ拾いをやり遂げる体験が、満足度とリピート率の向上につながっています。
「ただ単にゴミを拾うだけでは、“楽しかった”、“大変だった”という程度の感想に留まり1回きりの参加で終わってしまいやすいのですが、私たち事業者が飽きさせない工夫をすることで参加者同士のつながりが芽生えたり、ゴミを拾う以上の楽しさを提供でき、“また参加したい”と思ってもらうことにつながります」
ゴミ拾いをもっと身近に。みんなで海を守る世界へ
事業開始から今年で4年目を迎え、徐々に潜水スポットのゴミが減っている実感があるという東さん。喜ばしい一方で、事業運営上はゴミが少ないことで満足させる体験を提供しにくいというジレンマも生みます。
そのため、現在は開催する間隔をあけ、その間は離島ツアーを実施したり、新たなゴミ拾いスポットの開拓にも力を入れるほか、環境保全と関連するイベントにも積極的に参加。東さんは一人で事業を切り盛りしているため、マルチタスクで全体のスケジュールを管理しながら、イベント出展時に販売するアップサイクルのキーホルダー制作を就労支援施設に協力を依頼するなど、工夫を凝らしています。
“ゴミ拾いをもっと日常的なものにしたい”。そんな思いを強く抱く東さんに、今後の展望を訊ねてみました。
「いつかは、どのダイビングショップでも、“1ダイブ1クリーンナップ”が行われる。そんな世界になって欲しいと思っています。その時にはDr.blueが水中ゴミ拾い専門店としての役割を果たしたことになります。
海でも陸でも、ゴミを拾うことが人々にとってもっと日常的になる。そんな時代になれば、美しい海をいつまでも守ることができる。そのためにこれからも普及活動を続けていきたいですね」。
- メール/info@dr-blue.okinawa
- 電話番号/080-2414-6174
- https://www.dr-blue.okinawa/
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