うちなんちゅ

「つながり」を大事にするうちなんちゅ

「うちなんちゅ」は、沖縄の方言で「沖縄生まれの人」を指す言葉。
「うちな」は沖縄、「ちゅ」は人という意味で、「おきなわ⇒おきなー⇒うちなー」と変化したとも言われます。うちなんちゅには人とのつながりを大事にする人が多く、沖縄社会には今でも、困ったときは仲間同士で助け合う「ゆいまーる」の精神が根付いています。
人だけでなく、神となったご先祖様を大切にする気持ちも強く、旧盆など先祖供養の行事は必ず参加し、ご先祖様に祈りを捧げます。
一方、沖縄には「いちゃりばちょーでー(一度会ったらもう兄弟)」という言葉もあり、多くのうちなんちゅは初対面の観光客に対しても、やさしい気持ちで接してくれます。沖縄を旅行するときは、ぜひうちなんちゅとコミュニケーションをとってみてください。きっとステキな思い出になりますよ。

INDEX

今も残る「ゆいまーる」の精神

困ったときは助け合うのが当たり前

沖縄には、昔から「ゆいまーる」という言葉があります。協働作業を意味する「結い」と、「廻る」を意味する「まーる」がくっついた言葉で、もともとは複数の農家が協力し、互いの畑仕事を順番に手伝うことを意味していました。現在はそこから発展し、人と人がつながり合い、助け合う相互扶助の精神を指す言葉として、沖縄で広く使われています。「困ったときは助け合うのが当たり前」というわけです。

この「ゆいまーる」の一例といえるのが、沖縄の各地にある「共同売店」。離島や山奥など買い物が不便な地域で、住民が資金を出し合い、生活に必要な物資を販売する店を共同経営する仕組みです。明治の終わり頃に誕生したとされ、現在も県内で70店ほどが営業しています。

また、沖縄には「模合(もあい)」という仕組みもあります。これは仲間同士が定期的に集まって、一定の金額を出し合い、集まったお金を一人ずつ順番に受け取っていくシステム。銀行の利子が高くて個人がお金を借りにくかった時代、仲間内で資金を融通し合うために生まれたものと言われています。現在は金融よりも飲み会を目的とした模合が多いようですが、これもうちなんちゅの「ゆいまーる」のひとつといえるでしょう。

さらに、沖縄には「いちゃりばちょーでー」という言葉があります。これは「行逢りば兄弟」、すなわち「一度会えばもう兄弟みたいなもの」という意味。うちなんちゅは総じておおらかで明るい人が多く、初対面の観光客に対しても、やさしい態度で接してくれます。最初は文化や価値観の違いに驚いたり、人見知りが生じたりすることもありますが、いったん関係性ができあがれば、まさしく「兄弟のように」分け隔てなく接してくれる人が多数。沖縄旅行の思い出として「地元の人とのふれあい」を挙げる人が多いのも、この「いちゃりばちょーでー」のおかげかもしれません。

ちなみに沖縄には、「うちなータイム」という独特の時間感覚があります。沖縄では時間の流れがゆっくり気味で、飲み会や待ち合わせの際、多少約束の時間に遅れたからといって、激しく怒られるようなことはあまりありません。もちろん仕事の場では、うちなんちゅもオンタイムで動く人がほとんどなので、そこは混同しないよう気をつけましょう。

ご先祖様を大事にするうちなんちゅ

旧盆や清明祭(シーミー)は大切な行事

うちなんちゅの気質として、「先祖とのつながりを大事にする」という一面があります。

祖霊信仰が根付いている沖縄では、うちなんちゅの生活に「ご先祖様」の存在が当たり前のように溶け込んでいます。うちなんちゅにとって、ご先祖様は大きな心のよりどころ。ご先祖様への祈りを日々欠かさず、「御先祖様に恥ずかしくない生き方をすること」を肝に銘じて生きている人も少なくありません。親や祖父母をはじめ、年上の人に対する敬意も大切にしています。

そんなうちなんちゅにとって、旧暦7月13日~15日の旧盆や、旧暦3月の清明祭(シーミー)は、とても大切な行事です。旧盆では、家族や親戚が仏壇のある家に集合し、初日にあの世からご先祖様を迎える「ウンケー」を行い、中日の「ナカヌヒ」を経て、最終日にはあの世にお送りをする「ウークイ」をします。シーミーは中国から伝わった先祖供養の行事で、一族の墓の前に家族や親戚が集まり、お墓を掃除してご先祖様にお供え物を捧げ、そのままお墓で食事をします。これらの行事はうちなんちゅにとっての一大イベントです。

また、うちなんちゅの中には、ブラジルやハワイなどに移民した人も多く、移民先で生まれた二世や三世の中にも、自らのルーツが沖縄であることを常に意識し、沖縄への思いを大切にしている人がたくさんいます。沖縄では5年に一度、そうした人々がふるさとの沖縄に帰郷するイベント「世界のウチナーンチュ大会」を開催しており、大会中は世界各国から多くの県系人が沖縄を訪れます。

うちなんちゅ精神を感じる「うちなーぐち」

「なんくるないさ」には前段がある

沖縄県外でもわりとよく知られている沖縄の言葉に、「なんくるないさ」があります。これは単に「なんとかなるさ」と訳されることが多く、うちなんちゅの楽観的な性格を表した言葉と捉えられがちですが、実はちょっと違うってこと、知っていましたか?

本来は「なんくるないさ」の前に「まくとぅそーけー」という言葉がつきます。「まくとぅそーけー」は、「真の(=正しい)行いをすれば」という意味。つまり「なんくるないさ」は、「人として正しい行いをしていれば、きっとうまくいく」というのが正しい解釈なのです。何の努力もせず、運頼みで「なんとかなるさ」と言っているわけではないのですね。

また、沖縄には「てーげー」という言葉もあります。漢字で書けば「大概」で、「適当」「いいかげん」というニュアンスで使われることが多いですが、一方で「ちょうどいい感じ」や、「ほどほどでOK」という意味になることもあります。「何事も突き詰めすぎず、のんびり行こうよ!」という、うちなんちゅ精神を表す言葉とも言えそうです。

掲載日:
2023.03.23

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