オキナワングルメ

豊かな風土が育んだおいしい食材と伝統料理

さまざまな国の影響を受けながら、独自の文化を育ててきた沖縄には、食の分野でも沖縄県外とはまったく異なる、ユニークで魅力的な料理や食材がたくさんあります。
島野菜と島豆腐を炒め合わせたチャンプルーや、豚や昆布で出汁をとった汁物など、医食同源に基づく伝統的な健康食のほか、そば粉を使わない沖縄そば、戦後アメリカの影響を受けて生まれた沖縄オリジナルの洋食など、沖縄ならではのグルメな一品も。マンゴーやパイナップルといった鮮やかで芳醇なフルーツ、アグー豚・石垣牛・やんばる鶏などのブランド肉、グルクン・イラブチャーをはじめとする色鮮やかな珍しい魚なども、ぜひ沖縄で味わいたい食材です。
そして、そんな料理にぴったりなのが、世界最古の蒸留酒である沖縄の酒、泡盛。独特のコクと風味が特徴で、特に3年以上寝かせた古酒(くーす)の味わいは絶品です。

INDEX

あれもこれも食べてみたい!沖縄料理

独特の素材を生かした多彩な料理に舌鼓

日本列島の南端に位置する沖縄は、日本だけでなくアジア諸国の影響も受けながら、独自の食文化を育んできました。

そんな中からまず紹介したいのは「沖縄そば」。そばといってもそば粉は使われておらず、小麦粉で作られた麺を用い、カツオダシや豚ダシの汁に、甘辛く煮た豚肉とカマボコをのせたものが基本です。

そして沖縄料理の定番ともいえるのが「チャンプルー」。チャンプルーは沖縄の言葉で野菜や島豆腐などを炒め合わせた料理(※) を指します。 また「ンブシー」は味噌味の炒め煮のことで、代表的なのがナーベーラー(へちま)ンブシー。ダシを使って少ない煮汁で炒める調理法は「イリチー」といい、パパイヤイリチー、クーブ(昆布)イリチーなどがあります。

また、沖縄は汁物の種類も豊富です。豚の内臓を使った中身汁、豚肉を入れた白味噌仕立てのイナムドゥチ、豚足たっぷりのてびち汁などに加え、固める前の島豆腐を使ったゆし豆腐、具だくさんの味噌汁、真っ黒なイカスミ汁なども、沖縄ならではの汁物といえます。

そのほか、落花生から作るジーマーミー豆腐、プチプチ食感が楽しい海ぶどう、紅麹と泡盛で豆腐を長期間漬け込んだ豆腐ようなど、沖縄には素材の魅力を生かした独特の逸品がたくさんあります。ぜひいろいろな料理を味わってみてください。

※地域や年代によっては「混ぜこぜ」の意味で使用されていますが、おきなわ言葉本来の意味では「豆腐・野菜などを炒めた料理」を指します。

アメリカ文化の影響を受けて生まれた洋食

復帰前から親しまれるステーキやAランチ

沖縄には戦後アメリカの統治下時代に生まれた、特有の洋食文化があります。

その代表格ともいえるのが「ステーキ」です。戦後の沖縄では、輸入牛肉を安く入手できたこともあり、1950年代からステーキ専門店が次々と開業。赤身肉のステーキにスープとサラダがついてくる、アメリカ風のステーキが主流でした。県内には現在もそのスタイルを守り、本土復帰前のアメリカンダイナーの雰囲気を感じさせる老舗店が残っています。

また、沖縄の食堂やドライブインでは、「Aランチ」「Bランチ」「Cランチ」というメニューをよく見かけますが、これは価格帯の違う定食セットのこと。Cがもっともお手頃価格で、B⇒Aの順に品数やおかずのグレードがアップしていきます。おかずの中身は店によって異なりますが、ハンバーグやフライなどが盛り合わせになっていることが多く、空腹具合や予算に応じて選べます。ちなみに「ランチ」という名前ですが、ランチタイム以外にも食べられます。

そして「タコライス」も、沖縄生まれのオリジナルメニュー。メキシコの郷土料理であるタコスをヒントに、挽肉、チーズ、レタス、トマトをご飯の上にのせたもので、沖縄本島北部の金武町が発祥と言われています。

ほかにも、サンドイッチやハンバーガー、昔懐かしい黄色いカレー、さらりとしたクリームスープなど、沖縄には独自スタイルの洋食が数多くあります。沖縄県外の洋食とはひと味違う「オキナワン洋食」をぜひ一度味わってみませんか。

長寿の秘訣!栄養たっぷりの島野菜

濃い原色に自然のエネルギーがみなぎる

沖縄の野菜は「島野菜」と呼ばれています。太陽の光や海風を受け、沖縄独特の土壌で育った野菜は、抗酸化作用が強く、ミネラルも豊富。沖縄料理にも欠かせない存在です。

そんな島野菜の代表格と言えば、まずはゴーヤー(苦瓜)でしょう。ゴーヤーの苦みには食欲を増進させる効果があるとされており、ビタミンCも豊富に含まれています。豆腐や卵と一緒に炒める「ゴーヤーチャンプルー」でいただくのがポピュラーです。

また、県外ではタワシの材料になるナーベーラー(へちま)も、沖縄では立派な食用野菜。水分量が多く、ビタミンやミネラルを豊富に含むので美容にいいと言われ、味噌煮込みにするのが定番です。パパイヤも県外ではフルーツですが、沖縄では熟す前に収穫し、野菜として炒め物やサラダにします。

ほかにも沖縄には、独特の辛みと香りがクセになる島らっきょう、沖縄で「うりずん豆」と呼ばれる四角豆、色鮮やかな紫色が特徴の紅芋、黄色で細長い島ニンジンなど、たくさんの島野菜があります。県内各地のスーパーやファーマーズマーケットで手に取ることができるので、ぜひ探してみてくださいね。

※病害虫のまん延を防止するため、生の紅芋は沖縄県外に持ち出すことができません。お菓子などの加工品、焼き芋など加熱調理済みの紅芋であれば持ち出し可能です。

南国沖縄ならではのフルーツたち

心躍る、フレッシュなジューシースイーツ

南国沖縄には、みずみずしいフルーツがいっぱい。そのまま生で食するのはもちろん、料理やデザートに用いても、新たな美味しさが発見できます。

そんな沖縄産フルーツの中でも、夏の贈答品として人気が高いのがマンゴー。なめらかな口当たりの果肉から濃厚な果汁がしたたり、芳醇な香りが楽しめます。同じく夏場が旬のパイナップルは、完熟させてから収穫するため糖度が高く、味も香りもハイグレード。パッションフルーツは、種を含んだゼリー状の果肉と甘酸っぱい香りが特徴です。

また、冬になると出回るのが、柑橘類のタンカン。ほかのミカンに比べて味も香りも濃く、ビタミンCも温州ミカンの約2倍含まれています。同じ柑橘類のシークヮーサーは青切りと完熟があり、酸っぱい青切りはレモンのように調味料として使われ、完熟したものはフルーツとして食べられています。

そのほかにも、ビタミンCがレモンの約34倍含まれるアセロラ、トロピカルな香りが特徴のグァバ、星形の形状がユニークなスターフルーツ、甘みが強く「森のアイスクリーム」と呼ばれるアテモヤなど、沖縄では多種多様なフルーツが生産されています。四季折々、旬のフルーツを味わう楽しさを、沖縄で体感してください。

日本最古の蒸留酒・泡盛

47の酒造所で個性的な泡盛を製造

沖縄で「酒」といえば泡盛を指すほど、県民にとってなくてはならない存在。泡盛は焼酎のルーツとも言われる日本最古の蒸留酒で、沖縄では600年以上も前から作られていたとみられます。泡盛の最大の特徴は、タイ米と黒麹菌を用いていること。独特のコクや風味は、この黒麹が元となっています。泡盛の中でも3年以上熟成させたものを「古酒(くーす)」と呼びますが、貯蔵年月が長いほど熟成度が高まり、味の深みが増していきます。

そんな泡盛の香りと味を余すところなく堪能するなら、ロックがいちばん。泡盛初心者の方や強いお酒が苦手な方は、水や炭酸ソーダで割るか、リキュールやジュースと合わせてカクテルにするとよいでしょう。そして熟成を重ねた古酒は、ぜひストレートで飲みたい一杯。時間を重ねてまろやかさを増した、泡盛ならではの風味が味わえます。

そんな泡盛の製造所は、沖縄県内に47か所あり、それぞれ違った個性的な泡盛が製造されています。酒店や居酒屋を訪ね、ぜひお気に入りの泡盛を探してみてはいかがでしょうか。

豚・牛・鶏、沖縄のブランド肉を召し上がれ

温暖な気候と良質な飼料が育んだ逸品

沖縄でブランド肉といえば、まず「アグー豚」を連想する方も多いのではないでしょうか。アグー豚は沖縄固有の貴重な在来種で、戦後は激減してしまいましたが、残った豚を集めて戻し交配などを行うことにより、戦前に近い形質を備えた「沖縄アグー豚」が2011年に誕生しました。霜降り肉で食味が良く、脂身にほんのりと甘みがあるのが特徴で、一般的な豚肉に比べて脂肪の溶ける温度が低いため、口に入れると旨味の詰まった脂身がとろけます。

また、近年注目を集めている石垣牛は、実は全国にある数々のブランド牛の原点でもあります。日本各地のブランド牛は、子牛の頃に石垣から仕入れたものが育ち、各地の名前が冠されて食卓へ運ばれているのです。南国の温暖な気候のおかげで、ストレスを感じずに育った石垣牛は、程よい脂身と甘みがあり、しっかりとした肉質も味わえます。

ちなみに沖縄では、「豚は鳴き声以外は全部食べる」と言われますが、実は豚肉と同じくらい食べられているのが鶏肉です。「やんばる地鶏」はウコンやよもぎなど、沖縄ならではの食材を飼料として育てたブランド鶏で、臭みがなく、柔らかくジューシーな肉質が特徴。鶏肉のすき焼きなど、一風変わった食べ方もおすすめです。

カラフルでおいしい沖縄の魚たち

新鮮な魚をその場で調理して味わえる

那覇市内にある第一牧志公設市場を訪れると、青や緑などの色鮮やかな魚たちが、ずらりと並べて売られています。「こんな色の魚、本当においしいの?」と思うかもしれませんが、心配はご無用。刺身はもちろん、塩煮(マース煮)や塩焼き、天ぷら、煮付けなど、いろいろな調理方法でおいしくいただけます。

沖縄で最もポピュラーな魚は、県魚でもあるグルクン。定番は唐揚げで、頭から骨まで、余すところなく味わえます。青く美しい姿が目を引くイラブチャーは、刺身か酢味噌和えがおすすめ。ちなみに沖縄で刺身といえば、皮付きの「湯引き」にするのが一般的。皮の鮮やかな色が残り、見た目も楽しめます。

また、ふぐの一種であるアバサー(ハリセンボン)は、肝を入れて煮るアバサー汁が定番。そのほか、高級魚のミーバイや赤マチなども人気の高い魚です。第一牧志公設市場では、一階の店舗で買った魚を二階の食堂で調理してくれる「持ち上げ」というシステムもあるので、気軽に利用してみてはいかがでしょうか。

掲載日:
2023.03.23

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