連載・沖縄こころの旅|バスに乗ると沖縄がもっと好きになる

掲載日:
2026.08.29

沖縄の旅を彩るのは、美しい海や豊かな自然、そして心温まる人との出会いです。
当連載「沖縄こころの旅」では、観光の舞台を支える“人”にスポットを当て、その想いや仕事、沖縄への愛を紹介します。
観光地や飲食店、体験サービスの裏側には、訪れる人を迎える多くの人の物語があります。
人を通して出会う沖縄の魅力を、少しだけ深く旅してみませんか。

INDEX

ゆっくりだから見える沖縄。わった~バス党・ゆうりきや~と巡るバス旅

沖縄観光といえばレンタカーを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、目的地へ急ぐのではなく、ゆっくりと景色を眺め、地元の人々と同じ時間を過ごすバス旅には、車では気づけない沖縄の魅力が詰まっています。今回の「沖縄こころの旅」は、沖縄の路線バスをこよなく愛し、「わった~バス党」のイメージキャラクターとしても活躍するゆうりきや~さんと一緒に、バスだからこそ出会える風景や人、そして心に残る旅の楽しみ方を探します。

わった~バス党とは

「わった〜バス党」は沖縄県が中心となって立ち上げた、路線バスをはじめとする公共交通利用促進プロジェクトです。
県民はもちろん、観光客のみなさまにも沖縄のバスの魅力を知ってもらおうと、イベントや情報発信などさまざまな取り組みを展開しています。そのイメージキャラクターを務めるのが、お笑い芸人のゆうりきや~さん。幼い頃からバスに親しみ、今では「バス愛」あふれる活動で多くの人を魅了しています。今回は、「わった~バス党」の活動や、沖縄のバスだからこそ味わえる旅の魅力について伺いました。

ゆうりきや~

わった~バス党 党首・幹事長

1990年11月、小学校からの幼なじみでコンビ『ゆうりきや〜』を結成。
コンビ名『ゆうりきや〜』の由来は、城間 祐司と山田 力也の名をたしたもので沖縄の方言で言われる所の『ゆうでぃきや〜』(賢い・優秀な・よくできる)にかけている。
現在はエンターサポートに所属し、テレビ・ラジオ・舞台・各イベント等で活躍している。

詳しいプロフィールはこちら

バスは人生の一部だった |ゆうりきや~のバス愛の原点

バスターミナルでの思い出がバス愛の原点

僕ら同級生なんですけど、子どもの頃は二人とも那覇の郊外に住んでいたので、街へ行くにはバスしかなかったんですよ。買い物も映画も、まずはバス(笑)。だから、バスは生活の一部でしたね。小学生の頃は塾帰りにバスターミナルのそばを食べるのが楽しみで、それを目当てに通っていたくらいです。あの頃の思い出があるから、今でもバスに乗るとなんだかワクワクするし、バスが大好きなんです。

730(ナナサンマル):交通方式変更の歴史的瞬間

1978年の『730』は今でもよく覚えています。当時、小学3年生だった僕は、父親に連れられて夜中に交差点へ行って、車が右側通行から左側通行へ切り替わる瞬間を見たんです。目の前で接触事故も起きていて、『これは大変だな』と思いましたね。特にバスの運転手さんは、お客さんの命を預かりながら運転しないといけないので、本当に苦労されたと思います。実は、そのときに導入されたバスが今でも2台現役で走っているんですよ。先日も『730記念イベント』で特別運行されていました。タイミングが合えば乗ることができるので、バス好きの方にはぜひ一度体験してほしいですね。

目的地へ向かう時間も、旅の一部

バス車内は沖縄の「小さな社会」

夕方のバスに乗ると、学校帰りの中高生が乗ってくることがあるんです。その子たちが乗るときに『お願いします』って運転手さんに声をかけて、降りるときには『ありがとうございました』ってお礼を言うんですよ。そういう光景を見ると、すごくうれしくなりますね。バスの車内って、いろんな世代の人が一緒に過ごす『小さな社会』なんです。お年寄りが乗ってきたら自然に席を譲る人がいたり、部活帰りの学生たちが楽しそうに話していたり、一人で静かに景色を眺めている人がいたり。それぞれが同じ空間を思いやりながら過ごしている、あの雰囲気は沖縄のバスならではの魅力だと思います。

子どもを地域で見守る

この前も、小学3年生くらいの子が一人でバスに乗っていたんです。すると、おばあちゃんくらいの年齢の方が『あんた、どこまで行くの?』って声をかけていて、その子が『バスターミナルまでです』と答えたら、『偉いね~』って褒めていたんですよ。たぶん、その子が一人じゃないよ、大人がちゃんと見守っているよ、という安心できる雰囲気をつくってくれていたんじゃないかなと思うんです。今は『知らない人とは話さない』という時代ですけど、そのおばあちゃんと子どもは家族みたいに楽しそうに話しながら過ごしていて、目的のバス停で『気をつけてね』というような空気のまま別れていきました。そんなふうに、地域のみんなで子どもを見守るような光景が今でもバスの中に残っているのを見ると、『沖縄っていいな』とうれしくなりますね。

「わった~バス党」に込めた思い

「おじいとおばあ」のキャラクターがバス利用者のイメージと合致

『わった~バス党』のお話をいただいたときは、本当にうれしかったですね。僕らは『おじい・おばあ』のキャラクターで活動しているので、免許を返納された高齢者の皆さんにとって身近な交通手段であるバスをPRする役割にぴったりだったんです。もともとバスは大好きでしたが、2012年から活動を続ける中で、その思いはどんどん強くなりました。イベントやキャンペーンで利用者や運転手さんと接するたびに、『もっと多くの人にバスの良さを知ってほしい』『沖縄のバスがもっと便利で親しまれる存在になってほしい』と思うようになったんです。

「わった~バス党」の活動と役割

バスって『時間どおりに来ない』というイメージを持たれることもあるんですけど、『おじぃとおばぁが言うなら、一回乗ってみようかな』って思ってもらえることが結構あるんですよ(笑)。活動を続けているうちに、『この路線を増やしてほしい』『ここにもバス停があったらいいのに』なんて、地域の皆さんから直接声をかけてもらうことも増えました。それだけ信頼してもらえているんだなと感じるとうれしいですね。もともと乗り物が大好きですし、沖縄で活動してきた僕らだからこそ、この役割を任せてもらえたのかなと思っています。無理にキャラクターを変えることなく、いつもの『おじぃ・おばぁ』のままでバスの魅力を伝えられるのも、自分たちらしく続けられている理由ですね。

バスだから出会える沖縄

車窓から見える景色の違い

バスの魅力の一つは、やっぱり車窓から見える景色ですね。バスは乗用車より目線が高いので、防波堤の向こうに広がる海が見えたり、緑豊かな集落の風景がよく見えたりするんです。レンタカーだと運転に集中しないといけませんが、バスならゆっくり景色を眺められる。地元の人が乗り降りする様子や、何気ない日常の風景も見えてきて、『あぁ、沖縄で暮らしている人たちの毎日はこんな感じなんだな』って感じられるんですよ。そういう何気ない景色との出会いも、バス旅ならではの魅力だと思います。

降りてみたくなるバス停

沖縄には、『ここで降りてみたい!』と思えるバス停が本当にたくさんあるんですよ。やんばるの海沿いはもちろん、恩納村の海沿いを走る路線や、南城市の高台から眺める海の景色もおすすめです。それから、『これ、なんて読むの?』と思うような難読地名のバス停も沖縄ならではの楽しみですね。目的地に向かうだけじゃなく、『ちょっとここで降りてみようかな』という気持ちで途中下車してみると、その土地ならではの景色や人との出会いがあって、旅がもっと思い出深いものになると思います。

コミュニティバスを使った旅の提案

最近は、市町村が運営するコミュニティバスや予約制の乗合交通も増えてきているので、バス旅の楽しみ方も広がってきています。料金も100円や200円くらいと利用しやすくて、地元の人が普段使っている路線だからこそ、その地域の日常に触れられるのが魅力なんですよ。路線バスや高速バスとうまく組み合わせれば、レンタカーがなくてもいろいろな場所を巡ることができます。『公共交通だと不便そう』と思っている人にこそ、一度体験してみてほしいですね。きっと、いつもとは違う沖縄の旅を楽しめると思います。

ゆうりきや~おすすめのバス旅モデルコース

南城市コース

神々の島を、地域のバスで巡る

【アクセス】
那覇空港⇒ゆいレールで旭橋駅⇒那覇バスターミナル⇒路線バスで「南城市役所」⇒南城市役所でNバスに乗り換え
【見どころ】
斎場御嶽(せーふぁうたき)知念岬公園あざまサンサンビーチがんじゅう駅・南城ニライカナイ橋

Nバスについてはこちら

斎場御嶽 / 緑の館・セーファ

琉球開びゃく伝説にも現れる、琉球王国最高の聖地

住所
南城市 知念字久手堅
TEL
098-949-1899

詳細ページを見る

知念岬公園

思わず歓声があがる絶景公園!

住所
南城市 知念字久手堅
TEL
098-948-4611

詳細ページを見る

あざまサンサンビーチ

ユニバーサルデザインのビーチ

住所
南城市知念字安座真 1141-3
TEL
098-948-3521

詳細ページを見る

がんじゅう駅・南城

ここから始まる南城の旅!「ハートのまち南城でココロもカラダも元気になぁれ♡」

住所
南城市知念字久手堅541
TEL
098-948-4660

名護市コース

ローカル名護を巡る

【アクセス】
那覇空港⇒高速バス・エアポートシャトル・路線バスで名護バスターミナルへ⇒名護バスターミナルでなご丸に乗り換え
【見どころ】
ひんぷんガジュマル津嘉山酒造所(国指定重要文化財)名護博物館新山そばオリオンハッピーパーク

なご丸についてはこちら

ひんぷんガジュマル

300年以上にわたって名護の町を見守ってきた、ひんぷんに見立てられたガジュマル

住所
沖縄県名護市大東1丁目1
TEL
0980-53-7755

詳細ページを見る

津嘉山酒造所(国指定重要文化財)

県内最大規模の赤瓦葺き屋根を有する戦前から今も息づく泡盛工場

住所
名護市大中1-14-6
TEL
0980-52-2070

名護博物館

名護・やんばるのくらしと自然が体感できる博物館。

住所
名護市 大中4-20-50
TEL
0980-54-8875

オリオンハッピーパーク

オリオンハッピーパークは、訪れた皆様にオリオンビールを知り、楽しんでいただくためのハッピーを散りばめた
笑顔が満開になる空間です。

住所
名護市 字東江3-21-13
TEL
0980-54-4103

詳細ページを見る

ゆずり合いが、バスをもっと身近にする

沖縄には『ゆいまーる』という、お互いを思いやる文化があります。『ゆずり愛バスレーン』も、まさにその心を形にした取り組みだと思うんです。バスが後ろから来たら少し道を譲る。その小さな気遣いが、バスの時間を守り、運転手さんを助け、利用する皆さんの笑顔につながっていきます。

バスは地域のみんなで支える乗り物です。少しだけ相手を思いやる気持ちがあれば、沖縄の交通はもっと優しく、もっと便利になっていくと信じています。

バスに乗れば、沖縄の“こころ”に出会える

バスは、ただ目的地まで運んでくれる乗り物じゃないんです。車窓から見える景色はもちろん、乗り合わせた人との何気ない会話や、運転手さんとのやり取りまで、その全部が沖縄らしさだと思っています。少し時間がかかることもあるけれど、そのゆっくり流れる時間が、旅をもっと豊かにしてくれるんです。

今、バスは利用者の減少や運転手不足など、いろいろな課題を抱えています。でも、県民の皆さんが少しずつ利用したり、『ゆずり愛バスレーン』のように思いやりの気持ちを持って協力したりすれば、沖縄のバスはもっと元気になります。

観光で訪れる皆さんも、ぜひ一日だけでもバスに乗ってみてください。きっとガイドブックには載っていない、人の温かさや沖縄の日常との出会いが待っています。

この記事いいね!

ハート

0人がいいね!

掲載日:
2026.08.29

※掲載内容は、掲載日もしくは更新日時点での情報です。