戦後80周年の沖縄 記憶をつなぐ旅へ
- 掲載日:
- 2025.12.01
2025年、沖縄は戦後80周年という大きな節目を迎えました。
1945年、多くの県民を巻き込み地上戦が繰り広げられた沖縄。尊い命が失われ、美しい島は焦土と化しました。あれから80年—月日は流れ、沖縄は歩みを重ね、今では多くの人々が訪れる観光地となりました。けれども、あの日々を忘れることなく、平和への祈りを未来へ繋いでいくために、沖縄には記憶を伝える場所が数多く存在します。資料館や記念館では、戦争を体験した人々の証言や当時の遺品が、静かに、そして確かに語りかけてきます。80年前沖縄で何があったのか、どんな想いが交錯していたのかを感じることができるでしょう。
本記事では、この節目に改めて沖縄戦について学べるスポットと、戦後80周年にあわせて開催される企画展をご紹介します。沖縄を訪れた際、旅の中で少しだけ立ち止まり、歴史に触れる時間を持ってみてはいかがでしょうか。
INDEX
沖縄戦を学ぶスポット
沖縄戦を学べる場所は、那覇市内から離島まで、県内各地に点在しています。子どもたちの疎開船の悲劇を伝える記念館、地上戦が繰り広げられた激戦地の資料館、実際に人々が避難した壕、そして今も残る米軍基地—。それぞれの場所が、異なる視点から戦争の記憶を伝えています。旅の行程に合わせて、訪れやすい場所から足を運んでみてはいかがでしょうか。
沖縄本島で沖縄戦を学べるスポット
沖縄県平和祈念資料館
悲惨な戦争を二度と繰り返さないため、20数万の尊い人命を奪い去った沖縄戦の歴史的教訓を学ぶ資料館
- 住所
- 糸満市 摩文仁 614-1
- TEL
- 098-997-3844
南風原町立南風原文化センター
沖縄戦から民俗芸能まで、南風原町の昔・今・未来を伝える資料館。沖縄陸軍病院20号壕群を保存・公開して、平和学習が可能な施設となっている。
- 住所
- 島尻郡南風原町喜屋武257番地
- TEL
- 098-889-7399
離島で沖縄戦を学べるスポット
戦後80周年 平和祈念の企画展
沖縄戦について、さらに深く学びたい方へ。現在、沖縄県立博物館・美術館や平和祈念資料館では、戦災文化財や民間人収容所、平和の礎など、特定のテーマに焦点を当てた企画展が開催されています。期間限定の展示も多いため、気になるものがあればぜひ足を運んでみてください。
戦後80年「命どぅ宝 《沖縄戦の図》全14部」展
会場:佐喜眞美術館
開催期間:2025年6月5日(木)〜2026年1月26日(月)
常設展示として通常は5~7点の連作「沖縄戦の図」の全14部を展示しました。他に、鉛筆画の第一人者と称される木下晋作品を4点、5月18日の日本経済新聞夕刊「日本画と和紙の100年 紙漉き職人と画家たちの協働」でも紹介された内田あぐり《深い河-在》など迫力ある28点の作品群です。
※期間中、一部展示替えあり
企画展「戦後80年 沖縄戦から基地オキナワへ ー沖縄市と戦争体験、軍用地問題、講和前補償まで 」
会場:沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリート
開催期間:2025年6月10日(火)〜2026年3月27日(金)
沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリートでは、沖縄県軍用地等地主会連合会と共催で「戦後80年 沖縄戦から基地オキナワへ -沖縄市と戦争体験、軍用地問題、講和前補償まで」を開催します。
1945(昭和20)年の沖縄戦において、多くの市民が苦難を味わい、5,519名(令和2年現在)の戦没者を数えるにいたりました。その後本格的な基地建設がはじまり、「基地オキナワ」の誕生で急激な都市化が進む一方、多くの市民が生まれ故郷を米軍に接収され、今もなお市面積の3割余りを軍用地が占めています。
今回の企画展では、沖縄市と戦争体験、軍用地の問題、講和前補償を獲得するまでの動きを紹介します。
展示を通して「戦後80年」を改めてみつめ、「これから」を考える機会になれば幸いです
皆さまのご来館をお待ちしております。
令和7年度ギャラリー展「-建設30年-平和の礎が伝えてきたもの」
会場:沖縄県平和祈念資料館 2階ギャラリー
開催期間:2025年6月3日(火)〜2026年3月22日(日)
1996年(平成8年)6月23日に建設された「平和の礎」は、2025年で30年を迎えます。国籍や軍人・民間人の区別なく、沖縄戦で亡くなったすべての人々の名前が刻まれた礎は、恒久平和への祈りの象徴です。本展では、平和の礎の建設に至る背景や、30年にわたって平和の礎が伝えてきたメッセージについて紹介しています。
令和7年度第3回子ども・プロセス企画展「沖縄の民間人収容所と捕虜収容所」
会場:沖縄県平和祈念資料館 1階 子ども・プロセス展示室「ひろば・ゆいまーる」
開催期間:2025年10月24日(金)〜2026年2月8日(日)
沖縄戦で米軍に捕らえられた約30万人の沖縄の住民は、民間人収容所に隔離されました。今回の企画展では、敗戦後の沖縄で人々が体験した民間人収容所と捕虜収容所の実態について紹介します。
沖縄戦後80年企画「戦ぬ前(いくさぬめー)―沖縄文化の近代―」
会場:沖縄県立博物館・美術館
開催期間:2025年11月1日(土)〜2026年2月1日(日)
※会期中に展示替えあり
「新しい戦前」という言葉が語られる今、私たちは「かつて戦争へ至った道筋」をどれほど知っているでしょうか。
本展では、琉球国が沖縄県となった「世替わり」から太平洋戦争へと至るまでの美術、工芸、メディアを通して、文化と戦争の関係を見つめ直します。
さらに深く学びたい方へ
沖縄戦の傷跡は、今もなお残っています。
戦後80年が経った今も、県内各地で不発弾が発見され、処理作業が続いています。沖縄本島面積の約15%を占める米軍基地の存在も、沖縄戦に端を発するもの。そして、まだ見つかっていない戦没者の遺骨収集は、今この瞬間も行われています。
沖縄戦は、過去の出来事ではありません。現在進行形で、沖縄の人々の暮らしに深く関わっているのです。
おきなわ物語では、沖縄戦の歴史や各地の戦跡、平和学習のポイントなどを詳しく紹介した特集記事もご用意しています。本記事とあわせて読むことで、沖縄戦への理解がさらに深まるはずです。旅の前に、あるいは旅の後に、ぜひご一読ください。








