宮古の約束~島にやさしい24のアクション~

掲載日:
2025.08.04

41、それは沖縄県にある市町村の数です。
本連載「おきなわ41物語」では、41市町村のイマの魅力を現地ライターが独自取材。

地元民しかしらない地域ならではの魅力や穴場スポット、とっておきの寄り道グルメなど、沖縄をもっともっと好きになってしまうような、唯一無二の旅のアイデアを紹介してまいります。

41の物語とともに、新しい沖縄を再発見してみませんか?

世界屈指の美しい海を体感

沖縄本島と八重山諸島の間に位置する宮古諸島。その最大の魅力が、「宮古ブルー」と呼ばれる美しい海です。宮古諸島の海は、世界でも屈指の美しさと透明度を誇っており、シュノーケリングやダイビングを目的に訪れるリピーターが後を絶ちません。全長7kmにおよぶ宮古島の与那覇前浜ビーチをはじめ、島内の各ビーチで海水浴を楽しんだり、マリンアクティビティを体験するのもおすすめです。また、宮古島の周囲には橋で渡れる3つの島(池間島、来間島、伊良部島)があり、橋の左右も海に囲まれています。そのため、直接海に入らなくても、海の中を走っているような気分で絶景ドライブを楽しめます。

a letter from 〜島に添う〜|持続可能な観光PR映像

a letter from 〜島を継ぐ〜|持続可能な観光PR映像

INDEX

宮古島への行き方

宮古島へは、沖縄本島(那覇)のほか、東京(羽田・成田)、大阪(関⻄)、名古屋(中部)、福岡からの直行便も運航しています(一部季節運航)。
また、多良間島、石垣島との間を結ぶ離島便もございます。時期によって便数や時刻が異なりますので、各航空会社へお問い合わせください。

| interview |新たな発見がある、おすすめの目的地や取り組みを教えてください

宮古諸島でもっとも大きい宮古島は、特に美しいビーチが多く、マンゴーや宮古牛など絶品グルメも豊富です。宮古島から橋でつながる3つの島のうち、池間島は島全体が国の鳥獣保護区に指定されており、県内最大級の湿原「池間湿原」は、渡り鳥の楽園となっています。そんな宮古諸島で、受け継がれてきた宮古島らしさを守り育むために今、旅行者・市民・事業者が手を取り合い、尊重し合いながら、美ぎ島(かぎすま)を未来へ繋ぐアクションが実践されているとお聞きしました。

この取り組みについて教えてくれたのは、宮古島サスティナブルツーリズム連絡会の 春川 京子さん
「手つかずの自然と固有の文化が息づく宮古島。しかし、それは決して『永遠』に続くものではありません。透き通る“宮古ブルー”の海、色とりどりのサンゴ礁、先人たちが脈々と受け継いできた伝統文化、そして離島ならではの多様な生態系——。これらすべては、自然の営みと人々のたゆまぬ努力によって育まれてきた、かけがえのない宮古島の宝物です。その“宮古島らしさ”を未来へとつなげていくために、私たちは力を合わせて、『宮古島サステナブルツーリズムガイドライン』を策定し、運用しています。」

では、春川さんの紹介で、宮古島が取り組んでいる『サスティナブルツーリズム』を見ていきましょう。

春川 京子さん

宮古島サスティナブルツーリズム連絡会

外資系証券会社退職後、海外でエコツーリズムを勉強し、2007年に宮古島へ移住。
エコツアーの事業所と環境保護NPOを運営し、2020年より宮古島サスティナブルツーリズム連絡会事務局としてガイドラインの策定、運用に取り組む。

宮古島サスティナブルツーリズム連絡会

私たちにできること、サスティナブルツーリズム。
宮古島では、宮古島の生物多様で美しい自然や文化、地域の人々の生活を持続可能にしていくために、「サスティナブルツーリズムガイドライン」を設けています。

住所
宮古島市下地字上地472番地39 下地庁舎2階 宮古島観光協会内
TEL
0980-79-6611(事務局 宮古島観光協会)

私たちにできること、 サスティナブルツーリズム

サスティナブルツーリズムとは、地域の経済・社会・環境への影響を配慮し「持続可能な観光」を目指す新しい旅のスタイルです。経済性を重視するあまり地域が疲弊することがないように、旅行者・観光産業・自然・地域の需要を満たし、それぞれへの影響を十分考慮に入れた観光が求められています。地域を訪れるときは「お邪魔します」の気持ちと共に、条例やガイドラインを守りながら旅を楽しむこと、ガイドラインを遵守しているツアーを利用することも「島を守る」大切なアクションです。

宮古島では、宮古島の生物多様で美しい自然や文化、地域の人々の生活を持続可能にしていくために、「サスティナブルツーリズムガイドライン」を設けています。

サスティナブルツーリズムガイドライン①自然環境を守る

近年、世界中で環境問題や地球温暖化による影響が問題視されています。それは宮古島においても例外ではありません。ゴミ問題、海洋汚染、サンゴの減少、地下水の保全など、小さな島である宮古島が抱える問題は多く、観光地として、人々が暮らす地域として適切なマネージメントが求められています。

宮古島の自然環境の課題

サンゴの減少

海の生き物の住処であり天然の防波堤とも言われる、美しいサンゴ。その美しい宮古島のサンゴは近年急激に減少しており、危機的な状況に陥っています。数十年の間にサンゴが全滅してしまう可能性を指摘する声もあります。海水温上昇によるサンゴの白化、天敵のオニヒトデによる被害、日焼け止めや化粧品の影響、遊泳時の接触による破壊など、サンゴの減少の原因は多岐に渡りますが、人的な影響も決して少なくありません。

漂着ゴミ問題

宮古島の海岸には、黒潮や季節風によって大陸から大量の漂着ゴミが流れ着きます。北東の季節風の時期は、一年で最も漂着ゴミが多くなり、美しいビーチがゴミに覆われ景色は一変します。漂着ゴミは、海岸の景観を損ねます。また、漂着した注射針や火薬類などの危険物は、ケガの原因にもなります。海洋生物が餌と間違えて食べてしまったり、体に巻きついて死んでしまったり、生態系にも悪影響を及ぼしています。

自然環境を守るガイドライン (観光客の皆さま向け)

「サスティナブルツーリズムガイドライン」を遵守している事業者の紹介

マーリン

スノーケリング認証店・ダイビング認証店・船つり認証店

八重干瀬エリアを中心にシュノーケルやダイビング等のツアーを催行しています。

美しい宮古島の海を守っていきたいとの想いから、2年前より環境に配慮し学びながら遊べる”エコツアー”を開催しています。

■お問い合わせ先:info@marlin385.com

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マーリン チーフリーダー 宮田春香 さん

マーリンでは沖縄・宮古島の美しい海の恩恵に感謝しこの自然環境を守っていくためにサンゴに悪影響とされる日焼け止めを使用しない、餌付けをしない等ルールを設け、海洋環境学習の時間を設けたエコツアーを実施しています。
参加してくださった方がツアー中の一過性だけではなく日常生活の中で考えるきっかけ作りや、安心で豊かな自然環境に貢献することを目指しています。

マーリン チーフリーダー 宮田春香 さん

OCEAN KING

カヤック認証店・スノーケリング認証店・SUP認証店

ショップは2014年に開業。
シニア世代や英語ガイドで訪日外国人観光客にも人気。
充実の店舗施設!駐車場、トイレ、温水シャワー、更衣室完備。

■お問い合わせ先:0980-79-7724

 

公式ホームページはこちら

OCEAN KING マネージャー 北川美夏 さん

私たちオーシャンキングでは、開業当初から、宮古島のよりよい未来に向けての取り組み「ワンハンドワンクリーン」を実施しております。
アクティビティに参加されたお客様とインストラクターがビーチに落ちているゴミを1人1個回収する。
毎日の小さな取り組みが、持続可能な未来に向けた一歩を積み重ねています。

OCEAN KING マネージャー 北川美夏 さん

サスティナブルツーリズムガイドライン②海の安全

宮古島では例年、海水浴やダイビング中の死亡事故が発生しています。海は美しく、楽しく、癒されますが、自然は時として怖いもの。遊泳中に天候が急変し、予測できない事態に陥ることもあります。決して人間がコントロールすることができないということを理解した上で、正しい情報とスキルを身につけてから楽しみましょう。

宮古島の海、安全面の課題

飲酒遊泳

毎年夏になると、飲酒による水難事故は全国的に増加します。酒に酔った状態では、平衡感覚や判断力も鈍くなるため、海に入ると非常に危険です。また、飲酒をした場合と飲酒をしなかった場合とを比較すると死亡率は約2倍となると言われています。残念なことに、宮古島でも近年、飲酒が原因とみられる水難死亡事故が発生しています。楽しいはずの思い出が、事故で台無しとならないよう「飲んだら泳ぐな」を徹底しましょう。

海に潜む危険

海には思わぬ危険が潜んでいます。岸からは見分けられず、非常に危険とされる強い潮の流れは「離岸流」と呼ばれ、巻き込まれると一瞬で沖まで流されてしまいます。サンゴに囲まれた宮古島は離岸流が発生しやすいといわれ、事前に現場の情報収集をし、安全を確認することが大切です。また、海の中には危険な生き物もたくさんいるため、海遊びを安全に楽しむためにガイドラインを遵守しているツアーを利用するようにしましょう。

海の安全を守るガイドライン (観光客の皆さま向け)

「サスティナブルツーリズムガイドライン」を遵守している事業者の紹介

株式会社南西楽園リゾート

カヤック認証店・スノーケリング認証店・ダイビング認証店・水上バイク認証店

楽園の宮古島、透明度の高い宮古ブルーの海での体験ダイビングやシュノーケルはまさに夢のよう。 カラフルなサンゴと魚たちとの交流も楽しいひと時。 カヤックで優雅に波を漕ぎ、パラセーリングで空からの絶景を満喫すれば、非日常の冒険が始まります。 シギラビーチで過ごす心地よい贅沢を堪能してください。 日常の喧騒から離れて心をリフレッシュする絶好の機会となるでしょう。
■お問い合わせ先: ホームページお問い合わせフォームより
電話:0980-74-7206
 

 

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南西楽園リゾート 係長 村上恵介 さん

シギラセブンマイルズリゾートでは、4名のライフガード資格保有者が常駐し、シギラビーチの安全確保に尽力しております。
定期的なトレーニングを通じて知識と技術の向上に努めており、ご来島いただく皆さまが安心して海を満喫し、笑顔でお帰りいただけるよう、日々真摯に取り組んでおります。

南西楽園リゾート 係長 村上恵介 さん

imtida宮古島

スノーケリング認証店SUP認証店

imtida宮古島ではより良いサービスを提供するため、「無料送迎、シャワー室完備、バスタオルやドリンク、化粧水などのアメニティーなど」様々なサービスを用意!
シュノーケルやSUPをはじめ、宮古島の歴史を感じることができる島内観光などのツアーをご用意しております。

■お問い合わせ先:
ホームページお問い合わせフォームより
電話:0980-79-9960
メール:imtida.miyakojima@gmail.com

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imtida宮古島 代表取締役 徳永祐一 さん

「楽しい海時間は、安全から」をテーマに私たちimtida宮古島では変わりやすい海の状況を見極め、安全第一でツアーを行っています。
安心して海を楽しんでもらうために、日々のトレーニングと共に常に目を配り、声をかけ、海と人をつなぎます。

imtida宮古島 代表取締役 徳永祐一 さん

サスティナブルツーリズムガイドライン③地域への配慮

宮古島は、多くの島民が暮らす地域であり観光地でもあります。街なかであっても、ゆったりとした時間の流れを感じたり、独特の文化に出くわすことがあります。島の中には、特定の人々しか入ることが許されていない神聖な場所もあります。地域が大切にしているモノ・コトを、島の良き友人である皆さんと一緒に守っていきたい。

宮古島の地域・島⺠の課題

神聖な場所への立ち入り

宮古島には、「神聖」とされる場所が数多くあり一般的に立ち入りが禁じられている場所もあります。御嶽といわれる拝所、湧き水が豊富な鍾乳洞、地域で大切にされてきた場所。こうした神聖な場所がインターネットなどで「パワースポット」と呼ばれ、人が立ち入り、トラブルとなるケースが増えています。大好きな島の大切な未来のために、いつも最大限の敬意を忘れない旅を。

ゴミのポイ捨て・不法投棄

宮古島の課題の一つ、不法投棄とゴミのポイ捨て。島内で発生している不法投棄は、廃タイヤなどの産業廃棄物が大部分を占めています。また、草むらやビーチに捨てられた空き缶やペットボトル、タバコの吸い殻も目立ちます。宮古島市環境美化推進条例では「道路等に空き缶等のごみを投棄し、または汚した者は、3万円以下の過料に処する」とあり、ポイ捨ては犯罪です。人が増えれば、その分美しくなる島づくりを共に目指しましょう。

地域への配慮ガイドライン (観光客の皆さま向け)

「サスティナブルツーリズムガイドライン」を遵守している事業者の紹介

セブンシーズ

カヤック認証店

宮古島の自然や歴史、文化に触れ、知っていただくために 質を追求した エコツアーとカヤックツアーを実施しております。
エコツアーとカヤック専門店として実績を積んできたセブンシーズのツアーだからガイドが違います。
あなたの知らない宮古島… 今までと違う視点で見る自然…
他ではできないプログラム… ストレスや不安が少ない状況での海…
セブンシーズで体験してみませんか?

■お問い合わせ先:ホームページお問い合わせフォームより

公式ホームページはこちら

セブンシーズ チーフガイド 春川淳 さん

宮古島では、狭い場所に多くの来島者やツアーが集まって、自然への負荷だけでなく、生活する上で車の通行の邪魔だったりと、様々な理由で実際に困っている地域が複数あります。
セブンシーズをはじめ、『サスティナブルツーリズムガイドライン』を守って、地域と共存することを大切にしたツアーを選んでいただくと共に、来島される皆様もただ楽しむだけでなく、観光客向けのガイドラインで想いを分かち合っていただけたら嬉しいです。

セブンシーズ チーフガイド 春川淳 さん

ハーミットクラブ

スノーケリング認証店・SUP認証店

Snorkeling & sup & rental専門店
宮古島で送迎付シュノーケルツアー、sup、マリングッズレンタルを展開しております。

■お問い合わせ先:
ホームページお問い合わせフォームより
電話:080-6486-7019
メール:shimmy.62.11.11@gmail.com

公式ホームページはこちら

ハーミットクラブ 代表 清水陽介 さん

ハーミットクラブのツアーでは、美しい自然や文化を守るため、地元のルールを尊重し、環境に配慮した行動を大切に努めております。
地域との共生が旅の魅力を深めます。その架け橋になることを目指しております。

ハーミットクラブ 代表 清水陽介 さん

| model course |紹介スポットも回れる、とっておきの旅プラン

【宮古島市】私たちにできること~心で旅する2泊3日~

宮古島が取り組んでいる『サスティナブルツーリズム』を体感する旅

手つかずの自然と固有の文化が息づく宮古島。しかし、それは決して『永遠』に続くものではありません。透き通る“宮古ブルー”の海、色とりどりのサンゴ礁、先人たちが脈々と受け継いできた伝統文化、そして離島ならではの多様な生態系——。これらすべては、自然の営みと人々のたゆまぬ努力によって育まれてきた、かけがえのない宮古島の宝物です。その“宮古島らしさ”を未来へとつなげていくために、宮古島では力を合わせて、『宮古島サステナブルツーリズムガイドライン』を策定し、運用しています。

詳しくはこちら

| comment |一般社団法人宮古島観光協会からのメッセージ

一般社団法人宮古島観光協会

サステナブルツーリズムって難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は当たり前のことを当たり前にするだけでOKなんです。
美しい宮古島をずっと大切にしていくために、今できることを「宮古の約束」として取り組んでいます。
約束を守ってくれている認証店をご利用いただきながら、宮古島の旅を楽しんでいただきたいです。

住所
宮古島市下地字上地472番地39  下地庁舎2階
TEL
0980-79-6611

| 編集後記 |おきなわ物語編集部

今回は、宮古島サスティナブルツーリズム連絡会の春川 京子さんの案内で、宮古島が取り組んでいる『サスティナブルツーリズム』について教えていただきました。

宮古島の自然と文化に寄り添う24のアクションを通して、島の魅力とともに「守る旅」のあり方を考えるきっかけになりました。有名な観光地でありながら、島民の暮らしや神聖な場所が共存する宮古島。その繊細なバランスを保つために、私たち一人ひとりができることは何か・・・この記事がその問いへのヒントとなれば幸いです。

次に訪れるときは、ただの観光客ではなく、島の“友人”として迎えられるような旅人でありたい。そんな思いを胸に、心で旅する時間を大切にしていきたいと思います。

【ピックアップ】連載・おきなわ41物語/沖縄にはまだ知られていない魅力いっぱい

連載・おきなわ41物語

沖縄にはまだ知られていない魅力いっぱい

41、それは沖縄県にある市町村の数です。おきなわ「41」物語では、41市町村のイマの魅力をひとつずつ独自取材。
地元民がおすすめする地域ならではの魅力や是非訪れてほしい穴場スポット、寄り道グルメなど、新しいローカル旅の目的地を紹介してまいります。
41の物語とともに、新しい沖縄を再発見してみませんか?

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