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ココリコ田中さん 海の生物を学ぶ特別講座【詳細レポート】

掲載日:
2022.12.22

「生き物に触れて『力強さ』を感じて!」ココリコ田中さんが熱弁 沖縄美ら海水族館の特別講座レポート

本部町の沖縄美ら海水族館で開催された、絶滅が危惧されている海洋生物について学ぶ「Keep Our Oceans Amazing」(わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう)特別講座。沖縄美ら海水族館統括の佐藤圭一さんと、動物マニアで大のサメ好きでもあるココリコ・田中直樹さんの2人が特別講師を務め、地元・本部小学校の6年生たちに海洋生物たちの不思議な生態や、海の保全について人間が出来ることなどについて講話しました。

実は田中さんの参加はサプライズ。佐藤さんがゲストとして田中さんを招き入れて、ステージに登場すると児童たちからは歓声と拍手が沸き起こりました。「サメ好きな人いるー?」と、入場早々に会場に問い掛けて、手を挙げた子どもたちに「どういう所が好き?」と“サメトーク”を爆発させる田中さん。

ライセンスを取得して初めてのダイビングを石垣島で行って、その時にネムリブカを見たエピソードを披露し「沖縄には思い入れがあるんです」と強調して、「自然と生き物たちが豊かな沖縄でこうしたイベントに参加できるのはとても嬉しく思っています」と熱弁。頻繁に子どもたちとやりとりをしながら、会場では度々笑いが起きて終始和やかな雰囲気になりました。

講座では、タイマイ(ウミガメ)、マンタ、ジンベエザメについて、それぞれの生態の不思議や絶滅危惧に至っている状況などについて佐藤さんが話を展開しました。

「タイマイには他のウミガメと違った特徴があるんです」と口火を切る佐藤さん。子どもたちに何を食べるのか問い掛けながら、野生のタイマイが最も食べているのが「海綿」だと明かし、タイマイをはじめウミガメがたくさんいる沖縄で起きている問題についても話しました。沖縄美ら海水族館で保護した弱っているウミガメを調べたところ、お腹の中に軽石やプラスチックがあることが分かったそうです。

「この問題を覚えておいてくださいね」と佐藤さんが言って、続いてマンタの説明に移ります。沖縄美ら海水族館には現在マンタが5匹いて、そのうち4匹が沖縄でよく見られるナンヨウマンタということです。あと1匹は世界で1番大きいと言われるジャイアントマンタ(和名:オニイトマキエイ)。「世界で美ら海水族館でしか見られないですよ」と前置きすると、マンタの出産シーンを動画で紹介しました。生まれたばかりの子どもマンタの大きさが1m50cmもあり、出産直後からすぐ泳ぐことについても詳しく説明。田中さんも子どもたちも興味津々で目を輝かせていました。

最後に紹介したのは沖縄美ら海水族館のシンボル的存在で、最大のサメであり最大の魚でもあるジンベエザメ。美ら海にいるジンベエザメの名前は「ジンタ」くんで、なんと水族館に来てから27年(!)だそうです。「皆さんの2倍以上ですね」と佐藤さん。推定の年齢は30代後半ぐらいとのこと。ジンタくんがエサを食べる様子も動画で紹介しながら、マンタとの違いについて子どもたちに質問します。1発目に指名した児童が「水と一緒にプランクトンを食べてる!」と見事正解を出しました。

佐藤さんが「さっきのマンタは動きながら食べていましたが、ジンベエザメは止まったままなんですね。大体1回に100リットル以上の水を飲み込むんです」と説明を付け加えます。すると、すかさず田中さんが「よく立った状態(水面に垂直の状態)で食べてるのは、効率が良いからなんですよね」と合いの手をいれていました。

田中さんはフィリピンの海で5mくらいの子どものジンベエザメを見たエピソードも話してくれました。「一緒にランデブーのように泳げたらいいな、と思って後ろから近づいたら、2、3秒くらいの一瞬で深い所に潜っていきました。ジンベエザメって、のんびり泳いでるイメージだけど、めちゃくちゃ速かった!」

また、ジンベエザメの出産シーンを世界中の誰も見たことがないことについても触れて、「生まれ変わって、田中が少し残った状態でジンベエになれたら、出産シーンを見たいんですよ。誰も見たことがないから!」と興奮気味に話しました。ちなみに佐藤さんはホホジロザメになりたいそうです。

会場にも「生まれ変わったら何になりたい?」と質問すると、子どもたちが次々に手を挙げて「ヘビ!」「チンアナゴ!」「鳥!」「ワニ!」と色んな答えが。中には「田中さん!」という珍回答(?)も飛び出していました。

この後も田中さんは昔話の『浦島太郎』に出てくるウミガメはどんな種類なのか、と子どもたちの関心を引くミニクイズを出題したり、奄美大島でウミガメの産卵を見た時の話も披露しました。

「後ろ足が無いお母さんウミガメが、足が届かないのに一生懸命に砂浜をかくような仕草をして、結局穴を掘れずに産卵をしていたんです。普通の他のカメよりも時間をかけて。その時に感じたのは、生き物たちが生まれ持っている力強さ。どんな状態でも『生きていくんだ!』というエネルギーを感じて、学びました。僕たち人間よりも大昔から生きている、色んな生き物の長い歴史にはそんな生き方が詰まっていると思うんです。みんなも生き物に触れて、そんなことを考えてもらったら楽しいかな、なんて思うんですよ」

また、生物たちが絶滅に近づいている原因の例として、佐藤さんはフカヒレを高く売るためにジンベエザメのヒレだけを切って捨てる「フィンニング」について説明。さらに、タイマイ、マンタ、ジンベエザメのエサの食べ方について先に触れたことを踏まえて、人間が捨てたゴミによって生物たちが大きな影響を受けることについて話しました。

「私たちがどうすればいいのか。海岸に打ち上げられているゴミの半分は外国から流れてきたものなんですね。だから、皆さんには自分だけじゃなくて、周りの人にもゴミを捨ててはいけないということを広めてほしい。捕りすぎ、温暖化と色々と原因はありますが、今私たちがすぐ出来ることはゴミを出さないことですね」(佐藤さん)

イベント終盤では子どもたちからの活発な質問にも田中さん、佐藤さんの2人で真摯に対応し、特に田中さんは熱い生物トークを繰り広げて回答していました。

最後に、子どもたちへのメッセージとして佐藤さんは「沖縄の小学生の皆さんの中には、当たり前過ぎてあまり海に関心が無いという人もけっこういますが、是非これから興味を持ってもらって、将来私たちと一緒に仕事をしてくれる人が出てきたら嬉しいなと思います」と話しました。

イベントを終えて、田中さんは「めちゃくちゃ楽しかったです」と満面の笑み。コロナ禍になって、大勢が集まる場所で子どもたちと掛け合いややりとりをする機会が減ったことにも触れ、「生の声がたくさん聞けて良かったですね」と振り返り、子どもたちに「生き物や地球、環境について少しでも考えてもらえるような時間になればいいですね」と締めくくりました。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

『アバター』を配給するディズニーが海洋生物保全のために100万ドルの寄付を目指して、世界規模で行っている参加型キャンペーン「Keep Our Oceans Amazing」

今回の講座は12月16日に全世界同時公開となった映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開を記念して開催されました。
特別講座に冠された【Keep Our Oceans Amazing】は『アバター』を配給するディズニーが海洋生物保全のために100万ドルの寄付を目指して、世界規模で行っている参加型キャンペーンの名称。「2030年までに地球の海洋の10%を保護するという」目標を掲げて活動する自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)を支援するための取り組みで、同時に地球の海や海洋生物が抱える問題への認識を高めることも目的の1つとしています。

Keep Our Oceans Amazing について