北部
自然とつながる

世界自然遺産でナイトツアー!
やんばるで体験する「AKISAMIYO」

ETHICAL TRAVEL OKINAWA

「AKISAMIYO(アキサミヨー)」は、やんばるの世界自然遺産地域で行われる保全体験型ナイトツアー。動植物の観察を楽しみながら、環境モニタリング調査を通して、参加者自身が森を守る活動に関わることができます。

沖縄の歴史文化に欠かせない、やんばるの存在

©沖縄観光コンベンションビューロー

沖縄本島北部の豊かな森林が広がる地域のことを「やんばる(山原)」といい、その一部は世界自然遺産に登録されています。亜熱帯海洋性気候に育まれた森は、「奇跡の森」と呼ばれる生物多様性が特徴です。ヤンバルクイナやケナガネズミ、ノグチゲラといった固有種や絶滅危惧種がたくさん暮らしています。

そして、「手つかずの自然ではない」ということも最大の特徴です。琉球王国時代から、やんばるの森は人々の暮らしと深く結びついてきました。首里城をはじめとする建築材や、日々の生活に欠かせない薪や炭は、やんばるの森から供給されていました。琉球王朝時代の政治家・蔡温(さいおん)が森を守りながら活用するための制度を整え、地域の人々が「神の宿る場所」として敬い、持続可能な形での森の恵みを活用してきました。

人の手が入りながらも森が再生され、今なお豊かな自然が残されているのは、そうした先人たちの知恵と営みがあったからこそ。やんばるが世界自然遺産に認定された理由は生物多様性ですが、その背景には人と自然が共存してきた歴史文化も含まれているのです。

楽しみながら知る、保全体験型ナイトツアー

「AKISAMIYO」は、世界自然遺産エリアのやんばるで行う少人数制のナイトツアー。参加者は、専属ガイドの案内のもと、GPS機器を使いながら、野生生物の生息や痕跡を観察したり、外来種の存在やゴミの投棄などを確認して記録します。やんばる案内人の妹尾望さんが、内容を説明してくれました。

このツアーは、2011年から続く林道パトロールの活動から派生しました。林道パトロールは、国頭村・大宜味村・東村からなる「やんばる三村」の地域住民が中心となり、絶滅危惧種の密漁や違法投棄、ロードキルを防ぐために夜間や早朝に森を見回っています。この活動の中で、希少な動植物を身近に感じる喜びや星空の美しさなどを再確認した住民たちが、「この感動を多くの人に体験してもらうことで、自然を大切にする気持ちが広まったらいいな」という思いを抱き、観光と保全を両立させた保全体験型コンテンツとして「AKISAMIYO」が生まれました。自然への負荷を考慮し、人数や開催日を制限しながら行われています。

動植物の観察だけを目的にしたツアーではなく、「レンジャーの一員」として調査に携わることができるプログラム。そのため、出発前に行われる約20~30分のガイダンスでは、ツアー内容や守ってもらいたいこと、やんばるが抱える課題などの説明を受けます。希少な自然を守るため、さまざまな約束事があるので、事前にホームページでも確認しておきましょう。きちんと目的を理解したうえで参加するのがおすすめです。

森の中では、珍しい動植物に出会える可能性もあれば、希少な生き物を密漁するためのトラップやゴミの違法投棄などを目にする可能性もあります。ツアー名に込められた「アキサミヨー」は沖縄の方言で、「あらまぁ!」「おぉ!」「なんということ!」などという意味で、驚きや悲しみなどさまざまなニュアンスを含みます。

珍しい生き物を発見して、うれしくて「アキサミヨー!」、大量のゴミが捨てられるのを発見して、怒りの「アキサミヨー!」、生き物が車に轢かれている姿を目の当たりにして、悲しみで「アキサミヨー!」となるかもしれません。しかし、どれもやんばるの現状です。さまざまな「アキサミヨー」な体験を通して、環境保全について考えていただけたら、という願いが込められています。

夜の森の鼓動と、生命の痕跡を辿る体験

ツアーは東村で実施される「ハイクコース」と、国頭村を中心に巡る「ドライブコース」があり、いずれも約3時間のプログラム。今回は、車で調査地へ移動し、林道をゆっくり歩きながら調査する「ハイクコース」を体験しました。

ツアーの舞台は世界自然遺産区域ですが、毎回エリアは変わり、どこを調査するかはシークレット。密漁者への情報漏洩を防ぐため、参加者にも明確な位置情報は明かさない徹底ぶりです。

ゲートを開けて森へ入る前には全員で静かに手を合わせ、森や土地の神様にお祈りを捧げます。やんばるの人々が大切にしてきた精神や文化も体験します。

かつて林業が盛んだったころに木材を運ぶために整備された林道を歩くので、足元は安心。漆黒の闇の中、賑やかな生き物たちの鳴き声や、亜熱帯海洋性気候ならではの、しっとりとした潤いのある空気、森の匂いを感じることができます。

ツアー専用のライトを使用して散策しますが、鳥類や哺乳類を観察するときは生き物になるべくストレスを与えないよう赤いライトに切り替えます。今回は叶いませんでしたが、運が良ければヤンバルクイナに出会えるそうですよ!

食痕(しょっこん)といわれる生き物がエサを食べた後に残る痕跡などを見つけては、妹尾さんが、その生き物の生態などを教えてくれます。

ヤンバルクイナの鳴き声を聞くこともできました!「キョキョキョキョー」と可愛い声です。近くで生息していることが確認できたので、GPS機器と観察日誌に記録します。

他にも、ヤンバルクイナやケナガネズミ、リュウキュウヤマガメの食痕を見つけたので、位置情報と時間、発見したものを記入していきます。記録するのが楽しいので、いろいろ見つけたくなります!

妹尾さんが葉っぱの裏をめくると、準絶滅危惧種のアオミオカタニシがいました。美しい緑色をしていますが、殻は透明で緑色の体が透けて見えているんだそう。

暗闇の中でも、妹尾さんはたくさんの痕跡や生き物を見つけては説明してくれます。至る所に希少な生物が生息している「奇跡の森」であることを実感できるツアーです。

感動を言語化して共有し合う時間

森から戻った後は、参加者全員で振り返りを行います。これは、普段の林道パトロール後にも必ず行っていること。 今日のツアーで発見したものをおさらいし、それぞれの「アキサミヨー」な感想を発表します。「初めてヤンバルクイナの鳴き声を聞いた」「星空に圧倒された」など、何でもいいんです。感じたことを言葉にして共有することが大切。

「アキサミヨー」という感情をきっかけに、やんばるの森や未来に興味を持ってもらうこと、それがこのツアーの願いです。

やんばるを守る人々の想いを未来へ

©沖縄観光コンベンションビューロー

「このツアーは、やんばるに関わる多くの人が大切にしているものをギュッと凝縮したツアーです。これをベースに、たくさんの魅力を伝えられる、やんばるの象徴的なツアーに成長させたいと考えています」と妹尾さん。

「2024年、東村に新しく自然体験型の宿泊施設がオープンし、やんばるに滞在できる環境も整いました。一時的なアクティビティ体験だけではなく、朝・昼・夜と宿泊しながらやんばるを満喫することが旅の目的となるようなツーリズムを展開していきたいと思います」

旅行者として参加することで、地域の人々の想いや自然保全の取り組みの循環に貢献する。それも、旅の醍醐味なのではないでしょうか。

保全体験型ナイトツアー AKISAMIYO

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掲載日:
2023.10.26
更新日:
2023.10.27

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