サスティナブルだし、かっこいい。
畑の厄介者がアロハシャツやストローに変わる。
ETHICAL TRAVEL OKINAWA
1億年前の生態系が遺る”奇跡の森”、沖縄本島北部(やんばる)。 国頭村、大宜味村、東村のやんばる3村は、固有の生物多様性や絶滅危惧種が多く生息することが理由となり、 2021年には「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として、ユネスコの世界自然遺産にも登録されました。
豊かな自然の中で育てられる、美味しいフルーツもこのエリアの魅力のひとつ。大宜味村のシークヮーサーや東村のパイナップルなどは、日本で1番の生産地でもあります。
多くのフルーツが収穫される一方で、これまで「パイナップルの葉」は飼料にならない、水分が多くて燃やしにくい、強い繊維質のため堆肥にも使いづらい、という理由から廃棄されるだけの”畑の厄介者”でした。
そんなパイナップルの葉は、未使用資源を再活用する株式会社フードリボンの取り組みによって姿を変え、私たちの手に届けられています。
“畑の厄介者”が唯一無二な服に変わる。
フードリボンでは、パイナップルの葉が”畑の厄介者”とされる大きな理由である”強い繊維質”に目をつけ、試行錯誤のもと服などに活用できる繊維も開発。
パイナップルの葉由来の繊維は天然繊維の中でも長繊維で、シルクの5分の1程の細さで切り出すことができ、通気性や吸水性に優れています。 その特徴はアパレルブランドからも強く支持され、沖縄生まれのアロハシャツブランド「PAIKAJI」や日本発の世界的ジーンズブランド「EVISU」とのコラボレーションも実現しました。
“畑の厄介者”は、ワクワクするようなアプローチで、ファッション業界をもよりサスティナブルに変えています。
2024年にはインドネシアでの繊維生産工場稼働を開始し、量産化を進めておりパイナップル農家から葉の買取と、工場で人員を採用し所得の向上にも一役買っています。
インドネシア王室マンクナゴロ10世の着用するベスカップに採用され、インドネシアでの新しい産業の誕生にも期待されています。
大宜味村に伝わる、サスティナブルでやさしい想い
“捨てるものがない明日”を目指し、1次産業から排出される未利用部分を再活用する繊維プロジェクト。株式会社フードリボンの平良さんと長谷場さんにお話を伺うと、プロジェクトの背景には”やさしい想い”がありました。
「くわまーが かふうあらしみそーれ とぅくとうみそーれ」
“自分たちのことだけでなく子や孫の世代の幸せを願い、善い行いをすることが自分自身の幸せに繋がる。”という、沖縄の言葉。大宜味村のおばあが、代表の宇田さんに教えてくれたのだそうです。
その言葉のように、古くから大宜味村の暮らしに根付くサスティナブルな面に魅了され、この土地を拠点に様々なチャレンジがスタートしたのでした。
今や多くの注目を集めるパイナップルの葉繊維ですが、「今だから言えるけど、最初は無理だと思っていた(笑) でも、ここまできたのがすごいよね」と、後になって農家の方が話してくれたと平良さんは苦笑いを浮かべます。 葉を買い取ることで農家の所得向上にも繋げられるという側面も、持続可能な取り組みのひとつ。
「私たちとしては、このストローを使ってほしいというわけではなく、使用されるストローがなくなるのが一番嬉しいです。 でも、現実的にはすぐにそうはならないので、いつか新しい解決策が出るまでの代わりとして使用してもらえたらなと思っています。」と、パイナップル葉繊維ストローも “捨てるものがない明日”へのやさしい選択のひとつだと語ります。
パイナップル葉繊維を利用したアパレルに関しても、「ワクワクしたり、かっこいいと思ってもらえるものを作って、かっこいいから買ったけど結果的に良いことをしていると思えるものを提供したいと思っています。」 という考えを実現するために、あくまで自社は繊維の提供に留め、アパレルブランドとのコラボレーションでのみ製品作りをしているのだそう。
ストローを利用するときは使いやすくて”うれしい”、服を着るときはかっこよくて”うれしい”。そして、環境にも”やさしく”なれる。
そんな気持ちをプレゼントする”やさしい”お土産として、フードリボンの製品を手に取ってみてはいかがでしょうか?