
沖縄の食べものは、ちょっぴり無愛想なその見た目からは想像できないほど、
表情ゆたかな手ざわり、舌ざわり、歯ざわりを持っている。
ブツブツのゴーヤー、プチプチの海ぶどう、トゲトゲのドラゴンフルーツに
フワフワのゆし豆腐、シャキシャキの島らっきょう、ホクホクの紅芋…
キンキンに冷えたビールには、モチモチのジーマミー豆腐やヌルヌルのもずく酢が、
ツルッといただく沖縄そばには、トロトロのソーキ骨やテビチの煮付けが名コンビ。
今宵のツマミを思い浮かべながら、買い出しに出かける、ファーマーズ(市場)は、
沖縄県民の胃袋と直結している。
ここで出会う沖縄の野菜たちは、それぞれの家庭の台所に運ばれ、料理によって、味と食感が変化する。
トロ~リ、ジュワッと旨味が広がる、シブイ(冬瓜)やナーベラー(ヘチマ)のンブシー。卵にからめて火にかけると、フワッと香ばしくなるフーチャンプルー。ニンジンやパパヤーはシリシリーして炒めれば、やさしい甘味が増してくる。
変幻自在、自由奔放な「沖縄の食」に、わたし自身の手と舌と心で、触れてみたい。