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循環のバインミーカフェ

#離島

■循環を取り入れたバインミーカフェ

石垣島の市街地のはずれにある、バインミー、スイーツなどがいただけるカフェ、Baraque(バラック)。現在はすべてヴィーガンメニューで、ハンバーガーや酵素玄米プレート、日替わりのスイーツ、スムージーやハーブティー、オーガニックコーヒーなどたくさんのメニューがあります。

バインミーは、車麩ハリッサソース、レンズ豆コロッケ、ひよこ豆エチオピアンフムスなど5種類。ボリューミーで、ハーブやスパイスが効いたメニューはどれも絶品です。すべて手作りで、ドレッシングや出汁も、野菜やナッツ、キノコ、発酵食などを組み合わせて丁寧に作られています。イベント出店も多く、いつも早くに売り切れてしまうほどの人気っぷり。

食材は、なるべく地元のもの、なるべくオーガニックのものを使い、野菜は、有機栽培で野菜を育てる島の農家さんから直接仕入れることも。フルーツや豆、ナッツ、スパイス、調味料なども、環境に配慮して作られたものを選んでいます。

この日のスイーツは、キャロットジンジャーケーキと黒糖きなこモカマフィン。手作りスイーツもすべてヴィーガン、そしてグルテンフリーです。
仕入れている有機野菜の量り売りも。

■お店のメニューをオールヴィーガンへ

店主の田中すみれさんは神奈川県出身で、2011年に家族で石垣島に越してきました。3人の子の子育てをしながら、2015年に移動販売などでバラックをスタート。2021年に今の場所に移転し再オープンしました。
去年までは、バインミーのメニューにもお肉や卵を取り入れていました。だけれど、気になっていた環境問題や社会問題についてくわしく学んでいくうちに、食も地球のことも全部がつながっていること、ヴィーガンという選択がもたらす社会への影響が大きいことを改めて思い知らされたという田中さん。思い切って、お店のメニューをオールヴィーガンへと切り替えました。

「絶対ヴィーガン」というアピールではなく、日々の食事の選択肢のひとつとして提案していきたいと話します。実際田中さんも完璧なヴィーガンではなく、動物性ものを食べることもあるそう。「ノンヴィーガンのためのヴィーガンカフェ」と掲げていて、ヴィーガンではない人も親しみやすく、おいしく食べてもらえる食事作りを心がけています。身体への負担が少ないからおすすめなのはもちろん、食と地球全体の問題が実はすべてつながっている、まずはそのことを知るきっかけになってほしいと考えています。

現在世界的な課題のひとつにあがるのが、先進国で大量に出ているフードロス。バラックではフードロスはほぼゼロなのだそう。食材をすべてプラントベースにしたことで、特に乾物などは保存が効くので、かなりフードロスが減ったのだそう。食品から出るゴミといえば野菜のヘタくらいで、
その行先はお店の外にあるコンポストです。

コンポストの中で堆肥になったものは、隣の菜園に入れたり、別の場所にある畑へ持っていきます。堆肥を入れると、土が元気になるのが目に見えてわかるのだといいます。
畑は、木工職人でありお店の内装も手がけた旦那さんと共に世話をしていて、パイナップルや島バナナ、キャッサバなどを育てています。肥料や農薬を使わず、炭素資材をすき込んで微生物を増やす炭素循環農法という育て方を実践。子供たちも植え付けや収穫を手伝ってくれるのだそう。

こちらはバラックで販売している家庭用のコンポスト。コンパクトで、ひとり暮らしでもベランダなどに置いておけるプランタータイプと、お庭などに直置きするガーデンタイプがあります。

お店のコンセプトは「the SOIL will save us」。豊かな土壌がおいしいものを育む。海と大地はつながっていて、私たちが口にするものはすべて土が与えてくれる。土を大事にすることが、自分も他人も大事にすることにつながり、私たちを守ってくれる。そんな意味合いから、コンセプトとしています。

■「ひとりひとりの選択がすべてにつながる」

お客さん用のお手拭きは布のものを毎日洗って繰り返し使い、バインミーはお皿で提供し、見栄えの為の包み紙を使うこともやめました。テイクアウトにはタッパーやマイカップの持参を推奨していて、持ってきてくれるお客さんも少なくないとの事。
今年試験的にやってみた、シェアタンブラーという取り組みがあります。田中さんが声をかけ、賛同してくれた島内のコーヒー屋さん6店舗で、コーヒーをテイクアウトしたらどこのお店に返してもいいというシステム。「冷たいままのアイスコーヒーがゆっくり飲める」と好評で、来年から本格始動予定だそう。

コーラルコラボの略称である「コラコラ認証」は石垣島で始まった、八重山の自然を守るローカル認証のことで、「環境に優しい取り組みを行う事業者の製品が消費者に選ばれる」という流れを作りたいという想いで生まれた仕組み。田中さんはこのグループの立ち上げから携わってきて、バラックも、コラコラのガイドラインを達成している事業者としての認定を受けています。

そして、コロナの影響でお店を開けられなかった時期には、一般社団法人エシカル協会が開いている講座を受け、エシカルな考え方を通してあらゆる社会問題と向き合い、アクションを起こすための勉強をしていた田中さん。今では「エシカル・コンシェルジュ」として、エシカルの考え方を広く伝える案内人となっています。オールヴィーガンメニューへと進んだのも、この学びが大きかったといいます。

■さまざまなお話会やイベント、映画上映も

バラックでは、「愛アンド文化シアター」と銘打って、さまざまな分野の方々に来てもらいお話会を開いたり、社会問題などを取り上げた映画の上映会なども行っています。自分が見聞きして、共有したいと思ったこと、自分が心動かされた物事を多くの人と共有できたら。イベント後には必ず懇親会も開いていて、そこで意見交換をしたり、情報をシェアしたりすることも大事にしているそう。
田中さんは、お店以外のことも実に精力的に活動していて、この冬に開催される「やいまSDGsシンポジウム」の実行委員としても奔走しているところ。石垣島にはさまざまなアプローチで環境問題に取り組んでいる人たちがたくさんいるので、自分にできることをやりながら、繋いでいく役目もできたらと動いているのだそう。

■食という切り口で、「おいしい」から知ってもらうことを大切に

食はすべての人に関わっていること。ふだん何気なく口にしているものは、どこで誰が育て、どういうルートでここにきているのか。そういったことに意識を向けることから、物が溢れる現代で個人の選択が何を意味するのか、ひとりひとりの小さな行動で物事が大きく動いていく。それを石垣島から、島の人たち、お店に来てくれた人たちと一緒に伝えていきたいと思っているのだとか。

同じ想いを持ったスタッフたちと、おいしいものと楽しい場をつくり、さまざまなことをシェアして、どんどん仲間を増やしながら日々をこつこつと営んでいく。そんなあたたかい気持ちの溢れるバラックにぜひ行ってみてください。

INFOMATION
Baraque
掲載日:
2023.10.26
更新日:
2023.10.27

※掲載内容は、掲載日もしくは更新日時点での情報です。最新情報は、ご利用前に各施設などにご確認下さい。

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花笠マハエ