体験本部町

沖縄美ら海水族館

キラキラと太陽が降り注ぐ、神秘に満ちた沖縄の海―。その魅力を発信する「沖縄美ら海水族館」はコロナ禍を経て、新しいチャレンジを続けている。 

AI図鑑や遠隔ロボットも!沖縄美ら海水族館がIT活用に込めた願い

「量から質へ」 SDGsを軸に新たな挑戦をスタート

「量から質へ」 SDGsを軸に新たな挑戦をスタート

 魚類最大のジンベエザメが悠々と泳ぐ沖縄美ら海水族館は、年間約300万人が訪れる沖縄随一の観光スポット。それが一変した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年3月から2021年9月末までの計5回、断続的に臨時休館を余儀なくされたのだ。
 2020年度の来館者数は前年度比約18%、2021年度は上半期時点で、前年度比約6%程度だったという。同館を運営する沖縄美ら島財団・水族館管理部統括の佐藤圭一さんは「大打撃でした」と振り返る。来館者がいなくなった施設で職員たちは、感染防止対策を徹底すると同時に、水族館の意義を見つめ直した。
 「社会教育施設として我々に何ができるのか。持続可能な観光の在り方や地域貢献、教育の不平等をなくすことなど、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を軸に考えました。従来のように大勢を集めて開催するイベントではなく、一人一人のニーズに合わせようと…。『量から質へ』の転換は、沖縄観光全体が抱える課題でもあります」

「子どもたちの役に立ちたい」と生まれたプログラムも

「子どもたちの役に立ちたい」と生まれたプログラムも

 コロナ禍で職員たちが生み出し、人気となったプログラムの一つがオンライン講座だ。
「入院中の子どもが家族に会いづらくなり、社会とのつながりも減っている。孤独を感じている子どもたちの役に立てないか」
 医療関係者から現状を聞き、病院や特別支援学校とのライブ中継によるプログラムがスタートした。職員が子どもたちとコミュニケーションをとりながら、海の生き物の魅力や同館の活動内容を伝えている。
 「つらい治療に立ち向かう原動力になり、『退院したら水族館に行く』と目標にしてくれる子もいるそうです。実際に退院して遊びに来てくれた子もいます」と佐藤さんは嬉しそうに語る。
 水族館のバックヤードを約1時間かけて案内する「裏側まるごとウォッチング」も、コロナ禍で生まれたプログラムだ。家族や友人、カップルなど1回1組限定で1日4回。参加するには、2回のワクチン接種済み証明か、72時間以内のPCR検査陰性証明書の確認が必要。来場者はもちろん、職員や生き物の安全を守りながら、水族館をより深く楽しんでもらうための取り組みで「値段以上の価値がある」と好評だ。

感染防止対策は万全に、「遊びゴコロ」も忘れない

感染防止対策は万全に、「遊びゴコロ」も忘れない

 スマホにダウンロードできる「美ら海アプリ」では混雑状況の表示に加え、感染者が出た場合のプッシュ通知機能も備えている。入館時には靴底を含めて消毒を徹底。密を避けるために、本来の定員を現在は半分とし、空気の流れや換気率を計算した上で導線を確保している。巨大水槽「黒潮の海」の前など、特に人が集まりそうな場所には、適切な距離を保つスペース表示も随所にほどこしている。
 その一方、「楽しんでほしい」という遊びゴコロも忘れない。特に面白いのは、海の生き物の大きさでソーシャルディスタンスの目安である「2メートル」を伝えるイラスト表示だ。佐藤さんは「最初は職員が遊びで作り、『面白いからいっぱい作ろう』となったんです」と笑う。例えば、横幅が2メートルのナンヨウマンタ1匹を挟んで人が立つイメージだ。今では約30種類のイラストが館内のあちらこちらに表示されている。自分のお気に入りを見つけるのも楽しそうだ。
 外部アプリを活用した「AI図鑑」も導入した。魚にスマホかざすと、名前が表示される仕組みだ。2021年10月には遠隔操作ロボット(アバター)を使ったプログラムもスタート。佐藤さんは、ITの活用で水族館活動の幅が広がることに期待を寄せる。
 「オンラインで体験すると『やっぱり行きたい』となるようです。水族館は魚を展示するだけの施設ではありません。生態や繁殖の研究、海の環境保全、生き物のレスキューなど、さまざまな活動を展開していることを知ってほしい。今後はさらに地域と連携しながら、ブライダルやフォトウエディングなど、より安全性が担保できる貸切事業も始める予定です。オンラインでもリアルでも、沖縄らしさを感じてリラックスした時間を過ごしてもらいたいです」

水族館管理部統括:佐藤 圭一さん
お話を聞いた人
水族館管理部統括:佐藤 圭一さん
店舗HP
https://churaumi.okinawa

2021年11月時点

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