食の案内人

Interview #1

沖縄に根付く伝統的な琉球料理を伝えたい

松本料理学院の院長として、
琉球料理の保存普及・継承・発展の活動に精力的に取り組む松本嘉代子先生。
その土地で食べられてきた味、そして食文化を受け継ぐために
琉球料理のおいしさを伝えている。

松本料理学院 松本嘉代子

松本料理学院 院長松本嘉代子Kayoko Matsumoto

1969年に松本料理学院を開校。「家庭で食べた味は記憶として残ります。味を知って作れるようになってほしい」と、学院長として現在も講師を務める傍ら、沖縄の長寿を支えてきた食文化である琉球料理を次世代に残すための活動に精力的に取り組んでいる。

沖縄独自の食文化
「琉球料理」とは。

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琉球料理とは島野菜など沖縄らしい食材を使い、独特の調理法でつくられるもの。そこには文化や風習が反映されており、歴史的に受け継がれてきた料理です。こうした伝統的な琉球料理は、知れば知るほど理にかなっていて興味深い。たとえばソーキ汁は、豚のアバラ骨がタンパク源、昆布はミネラル、大根や冬瓜はビタミンと、具材がたった3種類しか入っていないのに見事な栄養バランスです。チャンプルーもそうですね。チャンプルーは本来、島豆腐を中心に季節の野菜を炒め合わせたもの。昔はそれほど食材が豊かでなかったにもかかわらず、栄養を効果的にバランスよく摂取できる方法を知っていたのです。先人が残してくれた大切な食文化ですよね。

知ってもらいたい
沖縄の食の魅力について

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琉球料理の魅力はいくつかありますが、まずは味。「アジクーター(濃厚な味)」という方言がありますが、これはだしがしっかりと効いている味わいのことです。豚だし、かつおだしをきちんと取り、食材と混ざり合って深い味わいを生みだします。だから、塩などの調味料はほんの少しで味が決まるので、塩分摂取量も控えめになり健康的です。食材もおもしろいですよね。沖縄で育つ野菜はとても個性的。強い太陽の日差しに負けないようポリフェノールが多く、野菜自体の抗酸化力が強い。その最たるものがハンダマです。表が緑、裏が赤紫色をしたハンダマはタンパク質やビタミンAに富む、貴重な夏の葉野菜です。沖縄の野菜はクセが強いものもありますが、栄養価が豊富なのです。「土産土法」という考え方がありますが、これはその土地でとれたものをその土地の料理法で食べることが、一番体にやさしいという考え方です。琉球料理には島豆腐と野菜を炒め合わせるチャンプルーや、昆布、かんぴょうなどの乾物を水でもどしてだしを入れながらじっくりと炒め煮するイリチー、ナーベーラー(へちま)やゴーヤーなどを味噌煮するンブシー、食材をさっと炒めるタシヤーなど、その土地でとれた食材をおいしくいただくための調理法がたくさんあります。こうした伝統的な沖縄の食文化が、長寿県だったこれまでの沖縄の人々の暮らしを支えてきたのです。

県外の人に体験してもらいたい
沖縄の食文化とは。

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日本の中においては異文化ともいえる沖縄独自の食文化を、県内外に知ってもらいたいと、料理講師としてこれまでも努めてきました。しかし、ただ表面的でにわかにつくられた琉球料理では、観光客のみなさんにとっても魅力を感じないのではないでしょうか。わざわざ沖縄を訪れるお客様にはその土地に根付いている生活そのものを知っていただきたいし、地元の人々が普段食べている日常食を提供することによって沖縄らしい充実した「うとぅいむち(おもてなし)」ができると思います。沖縄は郷土料理のレシピがたくさん残されているのに、うまく活用できていない現状があります。県外の人に沖縄旅行を通して体験してもらい、知ってもらうためにも、沖縄県民がその食文化、暮らしを改めて見直すことが大切だと思います。

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