沖縄の闇夜に潜る

真夜中写真部

企画・取材・執筆・撮影:DEEokinawa
協力・撮影・技術指導:真夜中写真部/武安 弘毅

「夜の終わり」2014

まだ見たことのない、夜の沖縄に会いに行く

わたしたちが日頃沖縄に対して抱いているイメージといえば、青いグラデーションの海に、南国らしいカラフルな花々、瑞々しいトロピカルフルーツや極彩色の魚たち。そんな、光や色にあふれたキラキラと眩しい景色ではないでしょうか。
しかし、光が強ければ強いほどその影は濃くなると言われるように、沖縄の夜の景色にもまた、幻想的な魅力が潜んでいるのです。
雨上がりの濡れた路面を照らす外灯の青白い光、月の光をたたえた静かな潮溜まり。そんな、わたしたちがまだ見たことのない、沖縄の景色たち。
夕食を終えひと息ついて、空が群青色に染まる頃、カメラを片手に夜の沖縄の表情を探しに行ってみませんか?

今回はナビゲーターとして、2010年から沖縄を拠点に『真夜中写真部』の活動を続けているフォトグラファーの武安弘毅さんを迎え、夜に写真を撮影するコツや注意点などを教えていただきました。

「怖い夜」2010年

真夜中写真部とは

沖縄を拠点に活動するフォトグラファー武安弘毅氏のライフワーク。月や街の「光」を巧みに扱い、通り一遍の沖縄ではなく、誰も見たことがない幻想的な沖縄を写し出す。映画監督ダニーボイルや、英クリエイティブユニットTOMATOなどから高い評価を得るなど世界から注目を集めている。

「夜#001」

武安弘毅プロフィール

1980年生まれ、北海道・札幌市出身、沖縄在住。
Hi-STANDARD 難波章浩率いるアーティスト集団 ULTRA BRAIN(イギリスV2records)所属。2006年フリーランスとして拠点を那覇に移す。雑誌momoto専属カメラマン。2011年NHK時代劇テンペストスチール担当。2012角川映画テンペストスチール担当。その他アーティスト写真集など多数撮影している。

真夜中写真部にチャレンジ!

いざ、夜の沖縄へ。でも、いつものカメラで大丈夫?設定は?そもそも、ちゃんと写るの?武安さん指導のもと、初めての真夜中写真撮影に挑戦しました。

武安さん:「まずは場所選び。僕は慣れているので多少危なそうな場所でもガンガン行きますが(笑)、初めての場合はできるだけ安全な場所がおすすめです。駐車場やトイレがあればベター。特に夜は足元が見えづらいので、スケジュールに余裕があれば明るい時間帯に下見をしておけると良いですね。
今回は那覇空港からのアクセスが良く、ロケーションも抜群な具志頭(ぐしちゃん)浜を選びました。駐車場からも近いので安心です。ここで、月の出を狙いましょう。」

日中の具志頭浜

辺りには外灯もなく真っ暗闇ですが、しばらくして目が慣れてくると意外と景色がしっかりと見えてくることに驚きました。武安さん曰く、懐中電灯をつけてしまうと照らされた範囲しか見えなくなってしまうので逆に危険だとか。そしてポイントは『すり足』で歩くこと。浜にはゴツゴツとした岩や漂着物なども多いので、うっかり踏んで怪我などしないように注意しましょう。底のしっかりしたマリンシューズや、つま先が保護されたサンダルなどがおすすめです。

ジャブジャブと躊躇なく膝辺りまで海に浸かりながら撮影ポイントを探す武安さん。具志頭浜には波に侵食されてできた不思議な形の大きな岩が多数あり、夜の雰囲気とあいまって地球ではないどこかの惑星のような不思議な世界感の写真が撮影できるそうです。

武安さん:「月の出の時間帯や方角、それから潮位、干満の時刻はあらかじめ調べておきましょう。それによって撮影場所を変えたりします。今はスマホのアプリがあるので便利ですよ。」

おすすめアプリ
  • Diana|月の満ち欠け sorakaze Inc. (https://itunes.apple.com/jp/app/diana/id290525991?mt=8)
  • 星座表|ESCAPE VELOCITY LIMITED (https://itunes.apple.com/jp/app/%E6%98%9F%E5%BA%A7%E8%A1%A8/id345542655?mt=8)

そうこうしているうちに、月の出の時間。この日は水平線付近に雲が多かったのですが、しばらくして雲の切れ間から月が顔をのぞかせた瞬間、思わず撮影隊一同「おお~っ!」と声が出るほどの幻想的な光景を目にすることができました。

撮影:武安弘毅

考えてみれば、お正月などに日の出を見る機会があっても、月の出を見る機会はこれまでなかった気がします。地球の向こう側から顔を出したばかりの月は鈍い黄金色に輝き(もっと低い位置にあるときは赤銅色に見えるそう)、この世のものとは思えない美しさ。登っていくにつれどんどん白っぽくなっていくので、ほんの数分しか見ることのできない、儚く神秘的な月です。思わずぼーっと見とれてしまいそうになりますが、今夜の本題、真夜中写真の撮影に挑戦です。

武安さん:「月が低いうちに急いで撮影しましょう。シャッタースピードが遅くなるので、まず手持ちは無理と考えてください。本当はしっかりした重たい三脚があるといいのですが、旅行中だとなかなか持ち歩くのは大変ですよね。その場合は小さな三脚でも、なにか台になる固いもの(スーツケースなど)にのせて撮影するのもありです。シャッターボタンを押すときにもブレるので、タイマー撮影機能がある場合は是非使ってください。残念ながらスマホ撮影は、真夜中写真には厳しいかな~。」

今回持参したのはデジタル一眼レフカメラ。武安さんにアドバイスをいただきつつ、シャッタースピード、露出、ISO 感度、色温度などを設定します。普段はほとんどオートで撮影しているので、この日はじめて触る機能もあり、少しあたふた…。そして、この夜撮影した初めての真夜中写真がこちらです。

絞り4/シャッタースピード40秒/ISO250

実際に目の前で見ている景色とはまた違う、カメラの目を通した不思議な時空がそこに映し出されていました。今まで見たことのない沖縄の景色。まさか、自分のカメラでこんな世界を捉えることができたなんて驚きです。これはハマってしまいそう。

武安さん:「カメラの設定は撮影する対象物や周囲の環境、使用するカメラによっても変わってくるので、今回の撮影情報は参考までに。何度も挑戦して、失敗して、感覚をつかんでいってください。」

そして、武安さんが撮影した真夜中写真はこちら。

撮影:武安弘毅

さきほどの自分の写真にうっとりしていたのが恥ずかしくなるほどの景色がそこに収められていました。静かで、幻想的な世界。もう、ため息しか出ません…。

さあ、あなたも真夜中写真部の世界へ

ひたひたと満ちてくる潮や、湿り気を帯びた海からの風。カサコソと足元を這うヤドカリの気配。昼間の海とはまったく違う、静かで神秘的な世界。真夜中写真部がとらえた美しい景色は、これまで見てきたどの沖縄とも違う表情をしていました。

そんな沖縄の夜の闇にもっと深く潜ってみたくなったなら、あなたも今日から真夜中写真部。 さあカメラを持って、出かけましょう!

■撮影に必要な道具
・カメラ
 一眼レフなどマニュアルモードで撮影できるもの、スマホはNGです。
 現場は暗いので手元が見えづらく、月を撮る場合は時間との勝負になるので事前にカメラの設定方法を確認しておいてください。
・三脚
・つま先が保護できるサンダルや靴
・懐中電灯

《今回の撮影データ》
絞り4/シャッタースピード40秒/ISO250
設定は、使用機材や撮影環境よって変わるのであくまで参考です。

《Information》

撮影場所:具志頭浜(沖縄県島尻郡八重瀬町字具志頭1500-3)
アクセス:那覇空港から車で約40 分、沖縄自動車道の南風原南IC から車で約35 分
利用料金:無料
駐車場:あり(無料)
トイレ:あり

*海岸に下りると外灯などはありません。安全には十分留意してください。
*看板などで立ち入りを禁止されている場所には、足を踏み入れないようにしましょう。
*マナーを守り、ごみを捨てたり騒いだりしないようにしましょう。
*集落内の道は細く、また浜の近くには野良猫が多く暮らしているエリアもあります。運転には十分気を付けてください。

《協力》
真夜中写真部/武安 弘毅
https://www.facebook.com/pg/mayonakasyasinbu/